2016年1月22日、気道過敏性検査薬メタコリン塩化物吸入液(商品名プロボコリン吸入粉末溶解用100mg、ケンブラン吸入粉末溶解用100mg)の製造販売が承認された。

 使用する際は、100mg(1バイアル)に生理食塩液を加えて溶解および希釈し、通常0.039〜25mg/mLの範囲の希釈系列の希釈液を調製する。検査にあたっては、成人および小児ともに日本アレルギー学会標準法、アストグラフ法などを参考に、低濃度からネブライザーを用いて吸入して検査を実施する。

 気管支喘息の診断は、典型的な発作を繰り返す患者については容易に診断できる。しかし発症初期など、喘鳴や呼吸困難などの症状を伴わない軽度の患者では、確定診断することが難しいとされている。

 臨床現場で確定診断、また重症度の判定や治療効果の判定を行う際は、気道過敏性検査が用いられる。気道過敏性検査とは、気道収縮物質を吸入投与することにより、喘息の呼吸生理学的特徴の1つである気道過敏性の有無および程度を客観的に評価する検査である。

 メタコリンはアセチルコリンのβメチル同族体であり、直接アセチルコリン受容体に作用して、気管支平滑筋の収縮と気管支分泌物の増加を引き起こす。喘息を有する人はメタコリンに対する感受性が高くなっているため、喘息を有する被験者がメタコリンを含む溶液を吸入した場合、健康被験者より低用量で気管支収縮が生じる。この反応の差が気道過敏性検査の薬理学的根拠となる。

 海外では、検査に用いるためのメタコリン塩化物吸入液調製用粉末製剤がすでに承認・販売されている。しかし日本では承認されておらず、これまでは研究用試薬を使用していた。

 2012年3月に日本アレルギー学会から喘息の基本気道過敏性検査薬としてのメタコリン塩化物の早期開発・承認要望書が厚生労働省に提出され、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」にて高い評価が得られた。国内第3相試験で成人および小児喘息患者における本検査薬の有効性と安全性が確認され、今回の承認に至った。

 国内臨床試験では20.0%に副作用が認められている。主な副作用は咳嗽(12.5%)、呼吸困難(5.0%)、喘鳴、酸素飽和度低下、呼吸音異常、息詰まり感(各2.5%)であり、重大な副作用として呼吸困難が挙げられている。

 本薬は、使用する直前に溶解・希釈し、調製後は速やかに使い切る。また、使用中に重度の気管支収縮や呼吸困難が発生した場合に備え、速効型吸入β2刺激薬の投与など、直ちに適切な処置を実施できるようにしておく。