2016年1月27日、診断用放射性医薬品インジウムペンテトレオチド111In)注射液調製用(商品名オクトレオスキャン静注用セット)が発売された。本薬は2015年9月28日に製造販売が承認され、11月26日に薬価収載されている。

 適応は「神経内分泌腫瘍の診断におけるソマトスタチン受容体シンチグラフィ」である。投与時は、セット中のバイアルA(放射性医薬品基準塩化インジウム[111In]溶液)の全量をバイアルB (注射用ペンテトレオチド)に加えて振り混ぜた後、常温で30分間放置して注射液を調製する。その注射液を111MBq静注し、4時間後および24時間後にガンマカメラを用いてシンチグラムを得る。必要に応じて48時間後にもシンチグラムを得る。

 神経内分泌腫瘍NET)は、膵臓、消化管、肺、気管支など全身の様々な臓器に発生する、神経内分泌細胞に由来する腫瘍の総称である。日本では膵・消化管NETの年間受療患者数は約1万1000人と推定され、希少疾病に分類されている。

 NETの根本治療の第一選択は外科的切除であり、手術の適応を判断するために、正確な局所診断および病期診断が重要と言われている。

 NETの局所診断にはこれまで、CTやMRI、検索部位に応じた体外式超音波検査、各臓器の内視鏡などを組み合わせて行なってきた。しかしこれらの局在診断法だけでは、原発巣の検出、転移、再発の確認には必ずしも十分とは言えないのが現状であった。

 今回発売されたオクトレオスキャンは、NETにソマトスタチン受容体が高頻度に発現しているという特徴を利用し、ソマトスタチンアナログのペンテトレオチドに診断用放射性同位元素インジウム(111In)を標識した放射性医薬品である。

 オクトレオスキャンを用いてSPECT(シングルフォトン断層撮影)検査を行うことで、既存のCTやMRIなどの画像診断法より精度が高く、ソマトスタチン受容体が発現している病変部位を確認できる利点がある。さらに本薬により、NETが疑われるものの既存の画像診断法では病巣が確認できなかった患者に対しても適切な診断が可能となり、治療法の選択肢が広がることが期待されている。

 オクトレオスキャンは、欧米では既にNETの標準的な画像診断薬として広く使用されていたものの、日本では個人輸入により患者の画像診断に用いられていた。そのため本薬は日本内分泌学会などの関連学会より、2010年4月の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に開発要望が提出され、有用性が評価されたことにより今回の発売に至った経緯がある。

 国内第3相臨床試験などでは副作用が11.1%に認められている。主な副作用は潮紅・ほてり(各3.2%)であった。また、オクトレオチド(商品名サンドスタチン、同LAR)などのソマトスタチンアナログで治療している患者に対する本薬の使用は、腫瘍への集積が抑制され、診断能に影響をおよぼす可能性があることから、オクトレオチドの休薬を検討する必要がある。