2015年12月21日、経口選択的直接作用型第Xa因子(FXa)阻害薬アピキサバン(商品名エリキュース錠2.5mg、同錠5mg)の適応および用法用量が追加された。追加された適応は「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症)の治療および再発抑制」で、1回10mgを1日2回、7日間経口投与した後、1回5mgを1日2回経口投与する。

 本薬は、すでに「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制」の適応で2013年2月より臨床使用されている。

 静脈血栓塞栓症(VTE)は、下肢、骨盤または上肢の大静脈の血栓症である深部静脈血栓症と、主に近位の下肢静脈の塞栓形成に起因する肺血管系内の血栓症である肺血栓塞栓症の総称である。

 VTEの治療目標は、急性発症において血栓を安定させ内因性線溶系による分解を促進することと、再発を防ぐことである。血液凝固で重要な因子には、プロトロンビンからトロンビンを生成してフィブリン形成を促進する第Xa因子FXa)と、フィブリノゲンをフィブリンにする反応を触媒する酵素トロンビンがある。現在、血流改善や抗血栓作用を目的とする経口の抗凝固薬として、FXa阻害薬や抗トロンビン薬ダビガトラン(商品名プラザキサ)が広く使用されている。

 FXa阻害薬は、今回適応が追加されたアピキサバンに加え、リバーロキサバン(商品名イグザレルト)、エドキサバン(商品名リクシアナ)が臨床使用されている。いずれもFXaに対して高い親和性と選択性を有し、FXa阻害を介してトロンビン産生を抑制することにより、直接的な抗血液凝固作用と間接的な抗血小板作用を示し、抗血栓作用を発揮する。

 アピキサバンのVTE治療に関しては、海外第3相試験(AMPLIFY試験)を基に実施された国内第3相試験(AMPLIFY-J試験)において、日本人の有効性と安全性が確認されたことで承認された経緯がある。

 VTE患者を対象とした国内臨床試験では副作用が32.5%に認められている。主な副作用は鼻出血(7.5%)で、重大な副作用としては出血、間質性肺疾患が報告されている。

 一般的にFXa阻害薬は、既存の抗凝固薬ワルファリン(商品名ワーファリン他)よりも出血リスクは少ないと言われているものの、出血リスクを正確に評価する指標が確立されていないことや、FXa阻害薬の抗凝固作用を中和する薬剤がないことに注意する必要がある。また本薬投与が禁忌となる患者について、既存の適応では腎不全(CLcr15mL/min未満)だが、VTEでは重度の腎障害(CLcr30mL/min未満)と異なることにも注意しなければならない。