2015年12月15日、LH-RH誘導体のリュープリンPRO注射用キット22.5mg(一般名リュープロレリン酢酸塩)が発売された。本製剤は9月28日に製造販売が承認され、11月26日に薬価収載されている。適応は「前立腺癌閉経前乳癌」で、24週に1回、1回22.5mgを皮下投与する。

 同一成分の薬剤としては、4週に1回投与する1.88mg製剤および3.75mg製剤(商品名リュープリン)や、12週に1回投与する11.25mg製剤(商品名リュープリンSR)が臨床使用されている。これら既存製剤は、規格によって適応が異なるが、「前立腺癌、閉経前乳癌」のほか、「子宮内膜症」「過多月経、下腹痛、腰痛・貧血等を伴う子宮筋腫の筋腫核の縮小・症状の改善」「中枢性思春期早発症」に使用されている。

 リュープロレリンなどのLH-RH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)アゴニストは、短期的には下垂体に作用して性腺刺激ホルモンを分泌させるが、連続投与し持続的に刺激すると、下垂体あるいは性腺が脱感作する。その結果、テストステロン(精巣)およびエストラジオール(卵巣)などの性ホルモン分泌が低下し、前立腺や乳腺の機能抑制、重量減少をもたらすことが認められている。

 性ホルモン分泌が深く関与している前立腺癌や閉経前乳癌では、手術療法や放射線療法などが行われているが、長期的な治療としてはLH-RHアゴニストなどによる薬物療法が中心的な治療となっている。米国のNCCN(National Comprehensive Cancer Network)ガイドラインなど、国内外のガイドラインでも、LH-RHアゴニスト単独または他の抗悪性腫瘍薬との併用が治療選択肢の一つとして推奨されている。

 現在、前立腺癌や閉経前乳癌に使用されているLH-RH製剤で、患者の負担軽減や利便性を考慮した持続性製剤としては、リュープロレリン以外にも、ゴセレリンの4週持続製剤(商品名ゾラデックス3.6mg)と12〜13週間持続製剤(商品名ゾラデックスLA)がある。

 今回発売されたのは、リュープロレリンの24週間持続製剤である。

 リュープロレリンの12週間持続製剤は、乳酸重合体を基剤としたマイクロカプセルにリュープロレリンを含有することで、徐放性を示す。今回発売された製剤では、マイクロカプセルの基剤を変更するなどして、効果を24週間持続することに成功したという。この製剤の登場により、患者の負担軽減や利便性がより高まることが期待されている。

 海外では、米国などで発売されている。国内の第3相臨床試験である12週間持続製剤との比較試験では、ホルモン動態、有効性および安全性を検討した結果、24週間持続製剤の非劣性が確認された。

 国内臨床試験では、臨床検査値異常を含む副作用が55.6%(前立腺癌に使用した場合)もしくは92.8%(閉経前乳癌に使用した場合)に認められている。主な副作用は、注射部位の硬結・紅斑・疼痛、ほてりなどであり、重大な副作用としては間質性肺炎、アナフィラキシーなどが報告されている。

 なお投与の際は、既存の11.25mg製剤と同様、注射針を上にしてプランジャーロッドを押し、懸濁用液全量を粉末部に移動させ、泡立てないように注意しながら十分に懸濁して用いる。