2015年11月26日、経皮吸収型鎮痛消炎薬エスフルルビプロフェンハッカ油製剤(商品名ロコアテープ)が薬価収載された。適応は「変形性関節症における鎮痛・消炎」で、1日1回患部に貼付する。同時に2枚を超えて貼付してはならない。

 変形性関節症は、最も頻度の高い関節疾患であり、世界中の高齢者の慢性疼痛および運動障害の主要原因となっている。臨床的症状としては、関節軟骨をはじめとする関節構成体の退行変性に起因して、膝関節や股関節等の四肢関節、手指関節、脊椎などで疼痛、腫脹、変形および可動域制限などが生じる。

 変形性関節症に対しては、症状軽減を目的として主に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられている。NSAIDsのうち、経口製剤は有効性は高いものの消化管障害の発現頻度が高いという欠点がある。一方、外用製剤は消化管障害を回避できるが、経皮吸収性と標的部位である深部組織への移行性が不十分であり、有効性において経口製剤に劣っていた。

 このことから、日本整形外科学会の「変形性膝関節症の管理に関するOARSI勧告 OARSIによるエビデンスに基づくエキスパートコンセンサスガイドライン」では、経口NSAIDsの使用が最も推奨されており、外用薬は経口薬に追加する薬剤もしくは代替薬として位置づけられている。

 今回薬価収載されたロコアテープは、既存のNSAIDsの外用剤フルルビプロフェン(商品名アドフィード、ゼポラスなど)の活性本体(光学異性体;S体)であるエスフルルビプロフェンとハッカ油を配合した経皮吸収型NSAIDsである。

 エスフルルビプロフェンは、フルルビプロフェンの活性本体であるため、シクロオキシゲナーゼ活性をより強力に阻害し消炎・鎮痛効果を示す。さらにハッカ油については、開発当初はエスフルルビプロフェンの添加物(溶解補助剤)として有効性を期待せずに配合されていたが、関節痛などに一般用医薬品の有効成分として承認されているハッカ油の薬用量に近似していたことから、改めて有効成分として表示された経緯がある。

 ロコアテープは、基剤を工夫することでエスフルルビプロフェンを膏体中に溶解状態で高濃度かつ均一に分散させ、経皮吸収や標的組織への移行性を高めた製剤である。2015年9月現在、海外では発売されていない。国内臨床試験(プラセボとの比較試験、長期投与試験)で有効性と安全性が確認されている。

 臨床試験では、副作用(臨床検査値異常を含む)が19.3%に認められている。主な副作用は適用部位皮膚炎(8.0%)、適用部位紅斑(3.2%)、適用部位湿疹(2.3%)であった。

 なお本薬は、経皮吸収を高めたことで、2枚を同時に貼付すると全身曝露量がフルルビプロフェン経口製剤の通常投与量と同程度に達する。そのため1日に貼付可能な枚数の上限が2枚となっているので注意したい。