2015年11月27日、高リン血症治療薬スクロオキシ水酸化鉄(商品名ピートルチュアブル錠250mg、同チュアブル錠500mg)が発売された。適応は「透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善」で、1回250mgを開始用量とし、1日3回食直前に経口投与する。症状、血清リン濃度の程度により適宜増減し、最高用量は1日3000mgである。

 通常、血清リン濃度は主に消化管からの吸収、骨からの遊離、骨への取り込みおよび腎臓から尿中への排泄によって調節されている。しかし、慢性腎不全患者では腎機能の低下によりリンの排泄量が低下し、高リン血症を発症する。高リン血症ではカルシウム・リン積が上昇し、軟部組織(血管壁、心臓弁膜、関節周囲など)にリン酸カルシウムが沈着し、異所性石灰化を引き起こすことが知られている。

 透析患者における高リン血症の治療としては、食事指導によるリン摂取制限、透析によるリン除去に加え、消化管からのリン吸収を抑制する経口リン吸着薬の投与が行われている。

 現在、経口のリン吸着薬としてはカルシウム含有製剤の沈降炭酸カルシウム(商品名カルタン)のほか、金属イオン含有のクエン酸第二鉄水和物(商品名リオナ)や炭酸ランタン水和物(商品名ホスレノール)、リン結合性ポリマーのビキサロマー(商品名キックリン)、セベラマー塩酸塩(商品名フォスブロック、レナジェル)が臨床使用されている。

 スクロオキシ水酸化鉄は、クエン酸第二鉄水和物と同じ3価鉄製剤である。2価鉄よりも消化管から吸収されにくいことからリン吸着に適しているといわれている。

 さらに本薬は、多核性の酸化水酸化鉄(3価)と炭水化物(スクロースおよびデンプン)からなる、鉄を約20%含有する製剤で、既存の3価鉄製剤よりも安定で長期保存後も高いリン吸着能を維持することが認められている。また経口投与後は、スクロースやでんぷんがグルコースなどに消化されることで、速やかに多核性の酸化水酸化鉄(3価)が遊離しリンが吸着されるという利点もある。

 透析患者を対象とした国内外の臨床試験で、優れた血清リン濃度低下作用や、52週にわたり血清リン濃度を管理目標値(3.5〜6.0mg/dL)の範囲内に維持できたことが示された。海外では2015年5月現在、米国で承認されて以降、世界35カ国で承認されている。

 国内臨床試験では副作用が32.2%に認められている。主な副作用は下痢(22.7%)であった。