2015年9月28日、慢性閉塞性肺疾患治療薬チオトロピウム臭化物水和物/オロダテロール塩酸塩(商品名スピオルト レスピマット28吸入)の製造販売が承認された。適応は「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解(長時間作用性吸入抗コリン薬および長時間作用性吸入β2刺激薬の併用が必要な場合)」で、1日1回2吸入する。

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙習慣が主な原因となる肺の生活習慣病で、高齢者の罹患割合が高いことが知られている。息切れなどによって日常生活に支障を来し、進行すると酸素吸入が必要となる。国内外でいくつかのガイドラインが公表されており、日本では日本呼吸器学会が「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第4版」を2013年に公表している。

 COPDの薬物治療では抗コリン薬やβ2刺激薬などの気管支拡張薬(特に吸入製剤)が主に使われており、近年では長時間作用性抗コリン薬(LAMA)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)といった、作用機序が異なる2薬剤を配合した製剤が臨床使用されている。

 具体的には、2013年11月よりLAMAグリコピロニウム(商品名シーブリ)とLABAインダカテロール(商品名オンブレス)を配合したウルティブロが、2014年9月よりLAMAウメクリジニウム(商品名エンクラッセ)とLABAビランテロールを配合したアノーロが臨床使用されている。

 スピオルトは、国内3番目のLAMA/LABA配合製剤であり、LAMAチオトロピウム(商品名スピリーバ)とLABAオロダテロールとを配合した薬剤である。本薬はウルティブロと同様、単剤では労作時の息切れなどをコントロールできない患者に有効であり、吸入操作が1日1回で済むため患者の負担軽減やコンプライアンス向上が期待できる。

 スピオルトに使用された薬剤一体型となった吸入器(レスピマット)は、噴霧ガスを使用せず、吸入液を機械的エネルギーでソフトミスト化して噴霧する携帯型の定量吸入器具である。スピリーバにも2010年5月より臨床使用されている。

 日本人を含む国際共同第3相試験や国内長期投与試験などで、呼吸機能(FEV1)を改善し、1年間(52週間)投与においても効果が持続したことが報告された。海外では2015年7月現在、米国および欧州を含む諸外国で承認されている。配合されているLABAオロダテロールについては、日本で未承認であるが、50カ国以上でCOPDの適応で承認されている。

 国際共同第3相試験や国内長期投与試験などでは、副作用が7.1%に認められている。主な副作用は口渇(1.3%)などであり、重大な副作用は心不全、心房細動、期外収縮、イレウス、閉塞隅角緑内障、アナフィラキシーが示されている。

 患者には他の配合吸入製剤と同様に、各薬剤で単独投与時に確認されている副作用に注意するとともに、特に過度の使用により不整脈や心停止などの重大な副作用の発現があることを十分理解させ、1日1回なるべく同じ時間帯に吸入するよう(1日1回を超えて投与しないよう)指導する必要がある。