2015年9月28日、抗悪性腫瘍薬バンデタニブ(商品名カプレルサ錠100mg)の製造販売が承認された。適応は「根治切除不能な甲状腺髄様癌」で、1日1回300mgを経口投与する。なお、投与中に副作用により減量する場合には1回200mg、その後必要であれば100mgに減量することとなっている。

 甲状腺癌は、気管付近、頸部の前面に位置する甲状腺の組織に生じる癌である。男性より女性に多く発症し、日本の総患者数は1万3000〜2万9000人と推定されている。

 甲状腺癌の多くは、外科的手術や放射性ヨウ素療法などでの治療が可能である。一方、根治切除不能な甲状腺癌に対する治療選択肢は限られている。さらに放射性ヨウ素療法によって病変が制御不能となった分化型甲状腺癌や、切除不能の甲状腺髄様癌および甲状腺未分化癌では標準治療が存在しないことから、新たな治療薬の開発・承認が望まれていた。

 今回承認されたバンデタニブは、甲状腺癌の発症と病勢の進行において重要なシグナル伝達経路であるチロシンキナーゼ、具体的には血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、上皮増殖因子受容体(EGFR)およびRearranged during Transfection(RET)などの各チロシンキナーゼを標的とする、マルチキナーゼ阻害薬である。

 現在、抗悪性腫瘍薬であるマルチキナーゼ阻害薬としては、腎細胞癌を中心にスニチニブ(商品名スーテント)などが使用されている。甲状腺癌領域では、分化型甲状腺癌に対しソラフェニブ(商品名ネクサバール)が、根治切除不能な甲状腺癌に対しレンバチニブ(商品名レンビマ)が使用されている。

 バンデタニブは、甲状腺髄様癌患者を対象とした2つの海外第2相臨床試験で忍容性と抗腫瘍効果が確認され、プラセボとの比較による第3相臨床試験でも主要評価項目の無増悪生存期間について統計学的に有意な延長が認められた。2015年5月現在、米国(2011年4月)、欧州(2012年2月)など世界41カ国以上で承認されている。

 日本においては、根治切除不能な甲状腺髄様癌患者を対象とした国内第1/2相臨床試験で、海外での第3相臨床試験の結果とほぼ同様の客観的奏効率が得られ、ほとんどの患者において腫瘍の縮小が認められている。

 国内第1/2相臨床試験では、全症例(100%)に副作用が認められている。主な副作用は発疹やざ瘡などの皮膚症状・下痢(各71.4%)、高血圧(64.3%)、角膜混濁・疲労(各42.9%)などであり、重大な副作用としては間質性肺炎、QT間隔延長、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)などが報告されている。

 本薬は国内外の臨床試験等で副作用が多いこと、承認時までの国内の治験症例が少ないことから、全症例に使用成績調査を一定期間行うことが定められている。