2015年8月31日、低ホスファターゼ症治療薬アスホターゼ アルファ(商品名ストレンジック皮下注12mg/0.3mL、同皮下注18mg/0.45mL、同皮下注28mg/0.7mL、同皮下注40mg/1mL、同皮下注80mg/0.8mL)が発売された。1回1mg/kgを週6回、または1回2mg/kgを週3回皮下投与する。

 指定難病および小児慢性特定疾患の対象となっている低ホスファターゼ症は、組織非特異型アルカリフォスファターゼ(TNSALP)の欠損に伴う骨の石灰化障害を特徴とする、重篤で極めて稀な遺伝性代謝性疾患である。

 TNSALPは通常、肝臓、腎臓、骨に高発現している。骨においては、骨芽細胞の細胞膜上で骨石灰化の阻害物質である無機ピロリン酸を分解し、無機リンの濃度を上昇させる。その結果、無機リンがカルシウムとともにハイドロキシアパタイトの結晶を形成し、類骨に沈着して石灰化を生じる。

 低ホスファターゼ症はこのTNSALPが欠損しているため、骨の破壊や変形などの骨格異常のほか、重篤な筋力低下、けいれん発作、疼痛および呼吸不全など全身性合併症を生じ、乳児では早期死亡に至ることも報告されている。

 従来、低ホスファターゼ症の治療としてはビタミンB6製剤など対症療法が中心であり、疾患進行を防止することができず、多くの患者が全身性合併症を発現することが問題となっていた。未成年患者の主な死亡原因は呼吸不全であり、最も重症な未成年患者の死亡率は50〜100%といわれている。

 今回発売されたストレンジックは、TNSALPの欠損を補う世界初となる酵素補充療法薬である。ヒト遺伝子組換えTNSALP触媒ドメインに、精製を容易にするヒト免疫グロブリンFcドメインとデカアスパラギン酸ペプチドドメインを融合した、骨を標的にした融合タンパク質製剤である。

 国内外の臨床試験において、TNSALP基質代謝に伴う骨石灰化、くる病様症状、身体機能、歩行、筋力または日常生活活動の改善が確認されており、さらに骨石灰化障害の改善は長期にわたることも認められた。海外においては2015年8月カナダで承認され、米国、欧州では近々承認される予定である。

 国内外で副作用が84.5%(60/71症例)認められている。主なものとして注射部位紅斑(52.1%)、注射部位変色(23.9%)、注射部位疼痛(22.5%)、注射部位そう痒感(19.7%)、注射部位斑・腫脹(各15.5%)などであり、重大なものは低カルシウム血症(4.2%)が報告されている。また、国内での治験症例が限られていることから一定期間、全症例を対象とした使用成績調査を実施することに留意する。