2015年7月3日、デュピュイトラン拘縮治療薬の注射用コラゲナーゼ(クロストリジウム ヒストリチクム)の製造販売が承認された。商品名はザイヤフレックス注射用である。用法用量は「0.58mgを中手指節関節または近位指節間関節の拘縮索に注射する。効果不十分な場合は、1カ月間の間隔を空けて最大3回まで追加投与可能」となっている。

 デュピュイトラン拘縮とは、緩徐に進行する手のひら内部の腱膜(手掌腱膜)の線維増殖性疾患である。筋線維芽細胞などから産生されたコラーゲンが異常に沈着することで手掌腱膜に結節や拘縮索が形成され、病態の進行とともに手指の屈曲拘縮が生じて伸展不能となり、日常生活に影響を及ぼす。

 北欧系白人に多い疾患であるが、発症機序については不明な点が多い。これまで治療法としては手術しかなく、麻酔下で手掌や指を皮切し拘縮索を切除することにより屈曲拘縮は矯正されるものの、手術は侵襲性が高く、かつ神経損傷や動脈損傷など合併症の発生が問題となっていた。

 今回承認されたザイヤフレックスは、クロストリジウム属細菌(Clostridium histolyticum)に由来するコラゲナーゼを有効成分とする薬剤である。コラゲナーゼはコラーゲンを加水分解する酵素で、拘縮索に局所投与することで、沈着コラーゲンを分解して拘縮索を破断するというデュピュイトラン拘縮に対する治療効果が期待されている。

 米国をはじめとして欧州各国および豪州で複数の臨床試験が行われ、指関節の屈曲拘縮に対する矯正効果が確認されている。2015年6月現在、世界30カ国以上で承認されている。

 日本では、日本人の罹患患者を対象とした国内第3相試験を行い、有効性、安全性および薬物動態で外国臨床試験の成績と大きく変わらないことが確認され、既存の外国臨床試験データとともに承認申請を行っていた。

 国内臨床試験からは、98.0%に副作用が認められている。主な副作用は注射部位疼痛(76.5%)、注射部位内出血(45.1%)、注射部位腫脹(34.3%)、挫傷(29.4%)などであり、重大な副作用は腱断裂、靭帯損傷、皮膚裂傷、アナフィラキシーが報告されている。

 本薬を拘縮索以外のコラーゲン含有組織に投与すると、腱断裂や靱帯損傷などの重大な副作用が発現する危険性がある。このことから、本薬の副作用の発現を予防するとともに十分な治療効果を得るため、デュピュイトラン拘縮に関する十分な知識と経験を有し、治療手技および適正使用に関する講習を受講した医師しか本薬を使用できないことに留意しておく必要がある。