2015年7月3日、2型糖尿病治療薬デュラグルチド(商品名トルリシティ皮下注0.75mgアテオス)の製造販売が承認された。週1回、0.75mgを皮下注射する。

 近年、血糖降下作用には食事の摂取などにより消化管から産生される「インクレチン」というホルモンが大きく関与していることが明らかになった。インクレチンは、血糖値が高い場合にインスリン分泌を増強するが、血糖値が正常あるいは低い場合にはインスリン分泌を増強しないという血糖コントロール作用を有する。さらに、グルカゴンの分泌を低下させ、肝臓における糖新生を抑制する作用もある。

 これらの特徴を生かし、近年、インクレチンに関連した作用機序をもつ糖尿病治療薬として、インクレチンの分解酵素(ジペプチジルペプチダーゼ4;DPP4)の選択的阻害作用を有する「DPP4阻害薬」や、代表的なインクレチンホルモンであるヒトGLP1(グルカゴン様ペプチド1)の受容体に作用する「GLP1受容体作動薬」が臨床使用されている。

 GLP1は、小腸下部のL細胞から分泌され、膵β細胞でインスリン分泌を促進し、膵α細胞でグルカゴン分泌を抑制する。また中枢では、摂食抑制ホルモンとして作用することが確認されている。

 今回承認されたデュラグルチドは、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)を用いて製造された遺伝子組換え融合糖蛋白質であり、4成分目のGLP1受容体作動薬である。

 既存のGLP1受容体作動薬としては、エキセナチドの連日投与製剤(商品名バイエッタ)と週1回投与徐放製剤(商品名ビデュリオン)、リラグルチドの連日投与製剤(商品名ビクトーザ)、リキシセナチドの連日投与製剤(商品名リキスミア)が臨床使用されている。

 GLP1受容体作動薬は作用持続時間から、短時間作用型(血中消失半減期:2〜5時間)と長時間作用型(血中消失半減期:12時間〜数日)に分類されている。血中消失半減期が4.5日(108時間)のデュラグルチドは長時間作用型に分類される。

 短時間作用型は食後血糖の上昇を強力に抑制するが、消化管運動抑制に伴う悪心や嘔吐が発現しやすい。一方、長時間作用型は空腹時及び食後の血糖値を低下させ、悪心や嘔吐も少ない特徴がある。

 既存のエキセナチドの週1回投与製剤は、投与時に薬剤を懸濁させる必要があり、太い注射針(23G)を使用していた。これに対してデュラグルチドは、細い注射針(29G)が用いられており、薬剤調製が不要でかつ患者への利便性が高い製剤となっている。なお本薬は、注入器(シングルユースペン)の内部に1回分の注射液が充填されたプレフィルドシリンジをあらかじめ装填したコンビネーション医薬品(キット製品)である。

 国内臨床試験から副作用が29.7%に認められている。主な副作用は便秘(6.2%)、悪心(6.1%)、下痢(5.8%)であり、重大な副作用は低血糖が報告されている。また、類薬で急性膵炎、腸閉塞が報告されていることに留意しておかなければならない。