2015年7月3日、免疫調節薬ヒドロキシクロロキン硫酸塩(商品名プラケニル錠200mg)の製造販売が承認された。適応は「皮膚エリテマトーデスと全身性エリテマトーデス」で、1日1回200mgまたは400mgを経口投与する。ただし1日投与量は、ブローカ式桂変法で求めた理想体重に基づき決める。

 エリテマトーデスは、皮膚に狼にかまれたような赤い斑点ができることから名づけられている。顔面、耳、首回りなどに高頻度に認められる特異的皮膚症状を中心とした皮膚エリテマトーデスCLE)や、DNA-抗DNA抗体などの免疫複合体の組織沈着により起こる全身性炎症性病変を特徴とする自己免疫疾患の全身性エリテマトーデスSLE)などがある。このうちSLEに関しては、若年女性に好発し、発症年齢は20〜40歳代であることが多く、寛解と増悪を繰り返して慢性の経過を取ることが多いとされている。

 両疾患は難病に指定されており、SLEは現在6万人以上が患者として登録されている。CLEに関しては罹患人口の疫学調査はないものの、SLEと同程度の患者数にのぼると推定されている。

 4-アミノキノリン類のヒドロキシクロロキンおよびクロロキンは、主に抗炎症作用、免疫調節作用、抗マラリア作用を有する薬剤である。現在、海外のガイドラインや成書などでは、CLEとSLEに対する標準的治療薬としてヒドロキシクロロキンおよびクロロキンが位置付けられている。

 クロロキンは、日本で過去に抗マラリア薬として販売されていたが、高用量での使用により網膜症が発現することが国内外から報告されたことで販売中止となった経緯がある。そのため日本におけるCLEとSLEの治療では、クロロキンではなくステロイドの局所投与および全身投与が多用されていた。

 クロロキンと類似した作用機序と化学構造を有するヒドロキシクロロキンは、海外でクロロキンに比べて組織親和性が低く、低用量の使用では網膜障害の発現リスクも相対的に低いことが報告されている。

 このことから日本ヒドロキシクロロキン研究会が、CLEおよびSLEの治療薬としての開発・承認の要望書を厚生労働省に提出した。その後、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」にて必要性の高い薬剤として評価され、2010年12月に厚労省から製薬会社に開発要請がなされた。

 ヒドロキシクロロキンは、現在欧米諸国を含む70カ国以上で承認されている。しかし1950年代から使用されていたため、世界各国では現在承認に必要不可欠である規制要件に適合した臨床試験や非臨床試験などが実施されておらず、承認は実際の臨床使用に関する公表論文データに基づいて実施されていた。

 今回、日本におけるヒドロキシクロロキンの承認申請に当っては、2012年から新たに実施した日本人の患者を対象とした国内第3相臨床試験と今までの海外での臨床使用に関する公表論文データを基に、有効性と安全性が確認されている。

 国内臨床試験において、副作用が30.7%に認められている。主な副作用は下痢、頭痛、中毒性皮疹および蜂巣炎などであり、重大な副作用は眼障害、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群などが報告されている。