2015年7月3日、血液凝固阻止薬アンチトロンビン ガンマ(商品名アコアラン静注用600)の製造販売が承認された。適応は(1)先天性アンチトロンビン欠乏に基づく血栓形成傾向、(2)アンチトロンビン低下を伴う播種性血管内凝固症候群DIC)――である。1日1回、必要量を緩徐に静注または点滴静注する。

 生体内の主要な血液凝固阻害因子であるアンチトロンビンAT)は、トロンビンの他に血液凝固第X因子、第XII因子、第IX因子などと複合体を形成することで、これら凝固因子群を不活性化する。

 ATの欠乏や活性低下により、先天性AT欠乏症またはDICが生じる。先天性AT欠乏症は遺伝的にATが欠乏する常染色体優性の遺伝性疾患であり、血栓塞栓症の発症リスクが高いことが認められている。血栓塞栓症急性期にはヘパリンを投与するが、ヘパリンの抗凝固作用は血中AT活性レベルに依存することから、AT補充が必要となる。またDICは、感染症や悪性腫瘍などを基礎疾患とし、血漿中のAT活性が低下して生じる広範な血管内の凝固促進を特徴とする後天的症候群である。

 従来、AT製剤としてはヒト血漿由来AT(pAT)製剤(商品名:ノイアート静注用、アンスロビンP注射用、献血ノンスロン注射用)が臨床使用されていた。しかし、これらの製剤はAT補充の有効性は高いものの、常にヒト血漿由来の病原体による感染症伝播リスクを完全には排除できない問題があった。

 アコアランは、組換えDNA技術および糖鎖制御技術を用いて作成した、ヒト天然型ATと同一のアミノ酸配列かつ同タイプの糖鎖構造を有する日本初の遺伝子組換えヒトAT製剤である。従来のpAT製剤と比べてヒト血漿由来の病原体に感染するリスクの低減が期待されており、7つの臨床試験結果からpAT製剤の1.2倍の用量でpAT製剤と同様の有効性と安全性を示すことが確認された。

 臨床試験では、副作用が18.8〜31.3%に認められている。主な副作用は、そう痒症、発疹、皮下出血、貧血、血中ビリルビン増加、脳梗塞、薬疹、胃腸出血など。重大な副作用としては、既存のpAT製剤でショック、アナフィラキシーが認められている。

 なお、本剤は特定生物由来製品ではないものの血液製剤代替医薬品であることから、投与または処方した場合には(1)医薬品名(販売名)、(2)製造番号、(3)投与または処方年月日、(4)患者氏名、(5)住所など――を記録し、少なくとも20年間保存することが義務づけられている。