2015年5月25日、抗精神病薬アリピプラゾール水和物の注射製剤(商品名エビリファイ持続性水懸筋注用300mg、同持続性水懸筋注用300mgシリンジ、同持続性水懸筋注用400mg、同持続性水懸筋注用400mgシリンジ)が発売された。

 適応は「統合失調症」で、1回400mgを4週に1回臀部筋肉内に投与し、症状、忍容性に応じて1回300mgに減量する。同一成分としては、内服製剤の錠剤と散剤(2006年6月)、液剤(2009年4月)、OD錠(2012年5月)が発売されている。

 統合失調症は、長期にわたる維持療法が必要な慢性の精神疾患であり、精神症状の再発、再燃防止と患者のQOL向上が重要な治療目標となる。

 治療に用いる薬剤としては、従来のハロペリドール(商品名セレネースほか)などの定型抗精神病薬よりも、リスペリドン(商品名リスパダールほか)やオランザピン(商品名ジプレキサ)、アリピプラゾール(商品名エビリファイ)などの非定型抗精神病薬を第一選択薬で使用することが、統合失調症の治療ガイドラインなどで推奨されている。

 また最近では、薬物のアドヒアランスが治療成績に深くかかわることが明らかになり、より投与回数が少ない製剤へのニーズが高まっている。

 アリピプラゾールはドパミン部分作動薬(DPA)であり、セロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用やセロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用をも併せ持っている。そのため統合失調症の幻覚・妄想などの陽性症状だけでなく、感情的ひきこもり、情動鈍麻などの陰性症状をも改善し、さらに既存の薬剤に比べて錐体外路系症状やプロラクチン値上昇などの副作用が少ないといった特性を有している。

 今回発売されたアリピプラゾール注射製剤は、持続徐放化された水性懸濁筋肉内注射製剤である。一定の血中濃度を長期間維持し、投与間隔を長くすることで、入院患者のみならず外来患者においても寛解した状態の維持が可能となり、有用性が高いと期待されている。海外では、2015年5月現在、欧米を含め30カ国以上で承認されている。

 国際共同実薬対照二重盲検試験では、副作用が57.0%に認められている。主なものとして注射部位疼痛(27.2%)、注射部位紅斑(14.5%)、注射部位硬結(11.0%)などであり、重大なものは悪性症候群、遅発性ジスキネジア、麻痺性イレウス、アナフィラキシーなどが示されている。