2015年6月22日、抗悪性腫瘍薬ラムシルマブ(商品名サイラムザ点滴静注液100mg、同点滴静注液500mg)が発売された。適応は「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」で、2週間に1回、8mg/kgをおよそ60分かけて点滴静注する。

 日本において胃癌は、年齢調整罹患率が癌全体の第1位を占め、最も発症頻度が高い癌と言われている。2012年の胃癌による死亡数は癌による死亡原因の第2位であり、1975年以降、毎年5万人前後が胃癌によって死亡している。

 日本や多くのアジア諸国では、進行胃癌の一次化学療法としてプラチナ製剤を含む2剤併用療法が行われている。具体的には、シスプラチン(商品名ランダ、ブリプラチン他)と、フルオロウラシル(商品名5-FU他)またはドキシフルリジン(商品名フルツロン)などのフッ化ピリミジン系経口薬剤との併用療法が行われている。

 一次で治癒できず二次化学療法に至る患者に対しては、日本胃癌学会「胃癌治療ガイドライン第4版」(2014)でドセタキセル(商品名タキソテール、ワンタキソテール他)、イリノテカン(商品名トポテシン、カンプト他)、パクリタキセル(商品名タキソール他)の投与が推奨されている。しかし二次化学療法に至る患者は多く、更なる新規薬剤の登場が期待されていた。

 近年、進行胃癌の新しい分子標的治療薬としてトラスツズマブ(商品名ハーセプチン)が臨床使用されるようになったものの、トラスツズマブは抗ヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)陽性患者に限定されている。

 ラムシルマブは、血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR-2)に対する遺伝子組換えヒト免疫グロブリンG1モノクローナル抗体で、日本では胃癌に対する初の血管新生阻害薬である。

 本薬は、受容体型チロシンキナーゼであるVEGFR-2の活性化を阻害することで、内皮細胞の増殖、遊走および生存を阻害し、腫瘍血管新生を阻害する作用を有している。抗悪性腫瘍効果を示すVEGFR阻害剤としては、大腸癌などに対してベバシズマブ(商品名アバスチン)が2007年6月から使用されている。

 治療歴のある進行胃癌患者を対象とした、本薬とパクリタキセル併用投与による国際共同第3相無作為比較試験(RAINBOW試験)や本薬単独投与による外国第3相無作為比較試験(REGARD試験)において、二次化学療法での全生存期間と無増悪生存期間の有意な改善が認められた。

 上記2つの臨床試験からは、主な副作用として疲労/無力症、好中球減少症、白血球減少症、下痢、鼻出血、腹痛、高血圧などが、重大な副作用として動脈血栓塞栓症、静脈血栓塞栓症、Infusion reaction、消化管穿孔、消化管出血などが報告されている。