2015年3月26日、肺動脈性肺高血圧症治療薬マシテンタン(商品名オプスミット錠10mg)の製造販売が承認された。1日1回10mgを経口投与する。

 肺高血圧症は、肺動脈圧の上昇を認める病態の総称である。中でも肺動脈性肺高血圧症PAH)は、生命予後が極めて悪いことが知られている。日本では女性患者が男性の2倍以上存在し、加齢と共に発症は増え、70歳代がピークになっている。一方男性患者の発症年齢分布は20歳代が多く、20〜40歳代は減少し40〜70歳代は増加するという二層性になっている。

 PAHの発症機序は完全には解明されていないものの、エンドセリン、プロスタサイクリン(PGI2)、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)が強く関連していることが判明している。

 そこでPAHの薬物治療では、プロスタグランジン誘導体製剤のベラプロストナトリウム(商品名ベラサスLA、ケアロードLA)、PDE5阻害薬のシルデナフィル(商品名レバチオ)やタダラフィル(商品名アドシルカ)、エンドセリン受容体拮抗薬のボセンタン(商品名トラクリア)やアンブリセンタン(商品名ヴォリブリス)などが使用されている。

 今回承認されたマシテンタンは、ボセンタン、アンブリセンタンに次ぐ3番目のエンドセリン受容体拮抗薬である。薬力学的な検討から、他のエンドセリン受容体拮抗薬に認められる肝酵素上昇、浮腫、間質性肺炎などの副作用や併用薬との薬物間相互作用の懸念が少ないと考えられ、開発された。海外では無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験として病状と死亡率を検討するSERAPHIN試験が実施され、有効性と安全性が確認されている。

 マシテンタンは、2013年10月に米国で承認されて以降、2014年11月までにカナダ、メキシコ、韓国など世界9カ国および欧州諸国で承認されている。

 日本では、日本人と白人を比較した単回投与試験および日本人を対象とした反復投与試験が行われ、健康成人での薬物動態と忍容性に、日本人と外国人で差がないことが確認された。さらに、日本人のPAH患者を対象としたオープンラベル試験により、海外のPAH患者と同様の有効性と安全性が確認された。

 国内臨床試験では副作用(臨床検査値異常を含む)が70.0%に認められた。主な副作用は頭痛(30.0%)、潮紅(23.3%)、貧血・浮腫・末梢性浮腫(各6.7%)であり、重大な副作用として貧血が報告されている。