2015年3月26日、尋常性ざ瘡治療薬クリンダマイシン過酸化ベンゾイル配合ゲル製剤(商品名デュアック配合ゲル)の製造販売が承認された。1日1回洗顔後、患部に適量を塗布する。

 一般に「にきび」と言われている尋常性ざ瘡は、毛包漏斗部の角化異常、毛包内への皮脂の貯留、P.acnes(Propionibacterium acnes、アクネ菌)の増殖などによる炎症が病因の、慢性炎症性疾患である。軽症時は一般用医薬品、医薬部外品や化粧品などによる患者のセルフケアが広く行われている。しかし悪化した場合には、瘢痕が残り治療が困難になることから、皮膚科での早期治療が必要といわれている。

 尋常性ざ瘡の治療としては、抗炎症作用を有するアダパレン(商品名ディフェリン)とリンコマイシン系抗菌薬クリンダマイシン(CLDM;商品名ダラシンなど)内服および外用製剤の併用療法などが用いられている。

 海外では抗菌薬の長期使用によるP.acnesの薬剤耐性菌出現が大きな問題となっており、欧米などでは耐性菌の懸念がない過酸化ベンゾイル(BPO)含有製剤の使用が治療ガイドラインなどで推奨され、標準治療となっている。日本でも2015年4月より2.5%BPOの外用製剤(商品名ベピオゲル)が臨床使用されるようになった。

 従来から使用されていたCLDMは、抗炎症作用も有する水溶性の抗菌薬である。P.acnesなどの感受性菌のリボソーム50Sサブユニットに結合し、タンパク合成を阻害して抗菌作用を発揮するとともに、リパーゼ産生を抑制し皮脂中の遊離脂肪酸を低下させ、白血球遊走を抑制することで抗炎症作用を発揮する。

 一方BPOは、分解により生成したラジカルで抗菌作用を発揮するという、CLDMと異なる作用機序を持つ抗菌薬である。BPOは、動物実験にて角質細胞同士の結合を弛めて角層剥離を促し、毛漏斗部の角層肥厚を改善する作用も認められている。また皮膚に塗布すると、生体内で速やかに安息香酸、馬尿酸へ代謝され、ほぼすべてが尿中に排泄される。

 今回承認されたデュアック配合ゲルは、1%CLDMと3%BPOという2種類の抗菌薬を含有する外用配合剤である。CLDMにBPOを配合することで、非炎症皮疹から炎症性皮疹への進展を防ぎ、炎症性皮疹の重症化を阻止することが期待されている。海外では、この配合製剤が薬剤耐性菌にも効果を発揮し、菌量を減少させることが認められた。

 2014年8月現在、日本と同じ3%BPOを含む配合剤は英国やドイツなど世界16カ国で、BPOの含有量が異なる配合剤(5%BPO)は世界80カ国で承認されている。

 国内第3相比較試験では、副作用(臨床検査値異常を含む)が30.6%に認められた。主な副作用は乾燥(9.8%)、接触皮膚炎(6.8%)、紅斑・皮膚剥脱(各5.8%)、そう痒症(5.2%)などであり、重大な副作用としては大腸炎が挙げられている。