2015年3月26日、慢性閉塞性肺疾患治療薬アクリジニウム臭化物(商品名エクリラ400μgジェヌエア30吸入用、同400μgジェヌエア60吸入用)の製造販売が承認された。適応は「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解」で、1回1吸入(400μg)を1日2回行う。

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙習慣が主な原因となる肺の生活習慣病で、息切れなどによって日常生活に支障を来し、進行すると酸素吸入が必要となる。高齢者の罹患割合が高いことが知られており、日本では2013年に「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のガイドライン第4版」(日本呼吸器学会)が公表されている。

 COPDの薬物療法では、抗コリン薬やβ2刺激薬などの気管支拡張薬(特に吸入製剤)が主に使用されている。近年は長時間作用性抗コリン薬(LAMA)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)との配合製剤(商品名アノーロ、ウルティブロ)も臨床使用されるようになった。

 エクリラは、グリコピロニウム(商品名シーブリ)、チオトロピウム(商品名スピリーバ)と同じLAMAである。吸入により肺に直接到達し、気管平滑筋のムスカリン受容体M3サブタイプに競合的に結合することで、気道収縮を抑制し、呼吸機能を改善する。肺から吸収された後は、非酵素的または血漿中のエステラーゼにより、薬理学的に不活性な代謝物に速やかに加水分解される。

 吸入器であるジェヌエアは、従来の吸入器と異なり操作が簡単で、音と信号により正しく吸入できたことを確認できるドライパウダー吸入器である。海外の第3相試験では、1日2回投与により疾患特異的QOL、呼吸困難、増悪頻度などを改善した。本吸入製剤は、2012年7月欧米で承認されてから世界36カ国で発売されている。

 国内臨床試験で9.0%に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主な副作用は不整脈・めまい(各0.9%)、血中クレアチンホスホキナーゼ増加・尿中ブドウ糖陽性(各0.7%)などであった。なお、薬剤使用に際しては、抗コリン薬であることから、閉塞隅角緑内障患者や前立腺肥大などで排尿障害のある患者には禁忌となっていることに留意する。