2015年2月24日、高チロシン血症I型治療薬ニチシノン(商品名オーファディンカプセル2mg、同5mg、同10mg)が薬価収載された。本薬は、2014年12月26日に製造販売が承認されている。1日1mg/kgを2回に分割して経口投与し、患者の状態に合わせて適宜増減するが1日2mg/kgを上限とする。

 遺伝性高チロシン血症I型HT-1)は、チロシン異化作用の最終段階に関与する重要な酵素フマリルアセト酢酸ヒドロラーゼの先天異常で有害代謝産物の蓄積が生じ、小児期より発症する重篤な遺伝性疾患である。重度の肝機能障害、血液凝固障害、痛みを伴う神経症状および腎尿細管障害、肝細胞癌の発症リスクが高いことが特徴である。

 HT-1は稀な疾患で、欧州および北米での発症率は出生10万人当たり約1人であり、日本での発症率は不明である。

 従来のHT-1の治療としては、チロシンとフェニルアラニンの食事制限と同所性肝移植がある。しかし食事療法のみでは疾患の進行を防ぐことができず、発症年齢によって生存率が左右され、全般的転帰は罹患率および死亡率の両面において一般に不良であった。

 肝移植は食事療法の唯一の代替選択肢で、代謝異常や肝細胞癌の進展予防のために早期実施が推奨されているものの、移植後の転帰は、回復、死亡および重篤な合併症など非常にばらつきがあった。

 今回承認・薬価収載されたニチシノンは、チロシン分解経路の第2段階の酵素4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)阻害薬である。主に肝臓と腎臓に局在するHPPDを阻害してフマリルアセト酢酸などの中間代謝物の産生・蓄積を抑えることで、これらによる組織障害を妨ぎHT-1患者の病態を改善すると考えられている。

 ニチシノンは、日本人を含む医師主導型グローバル試験であるNTBC試験で有効性を検証するとともに、コンパッショネートユース(人道的使用)として全世界の病院へ提供されていた。このNTBC試験などから、ニチシノンによるHT-1患者の短期予後および健康状態の劇的な改善が確認された。海外では2002年1月に米国、2005年2月に欧州をはじめ、2014年9月現在、世界37カ国で承認されている。

 日本では、2006〜2008年の未承認薬使用問題検討会議にて本薬の開発が検討されたものの、最終的には断念された。しかしその後、日本先天代謝異常学会からの開発要望もあって2010年「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」にて再検討され、今回の承認に至っている。

 NTBC試験および海外定期安全性最新情報などから、副作用として眼障害、血小板減少症、白血球減少症、顆粒球減少症が2014年12月までに報告されている。