2014年12月26日、メトヘモグロビン血症治療薬メチルチオニニウム塩化物水和物(商品名メチレンブルー静注50mg)の製造販売が承認された。適応は「中毒性メトヘモグロビン血症」で、1回1〜2mg/kgを5分以上かけて静注する。投与1時間以内に症状が改善しない場合は同量を繰り返し投与でき、累積投与量は最大7mg/kgまで。新生児および生後3カ月以下の乳児は、1回0.3〜0.5mg/kgを5分以上かけて静注し、投与1時間以内に症状改善しない場合は同量を繰り返し投与できる。

 中毒性メトヘモグロビン血症は、医薬品や農薬などの原因物質により血中メトヘモグロビン濃度が上昇し、チアノーゼ、頭痛、めまい、呼吸困難、意識障害などの症状を呈する中毒性の疾患である。

 メチレンブルーは、WHO必須医薬品リストにメトヘモグロビン血症治療薬(特異的解毒薬)として収載されている。国内外の教科書でも代表的な治療薬として位置づけられ、近年では化学テロ対策用としても必要性が高まっている。

 本薬を投与すると、赤血球内のNADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)-フラビン還元酵素により、本薬が還元されてロイコメチレンブルーとなる。ロイコメチレンブルーは、非酵素的にメトヘモグロビンをヘモグロビンに還元する働きがある。

 メチレンブルーは、2011年10月にフランス、同年11月に英国で発売されて以降、2014年5月現在、欧州を中心に世界13カ国で発売されている。

 日本ではこれまで、医薬品として承認されていなかったため、市販の試薬を用いて院内で注射製剤を調製したり、医師が個人輸入で海外製剤を購入して備蓄していた。こうしたことから、日本中毒学会や日本中毒情報センターは厚生労働省に早期承認の要望書を提出しており、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」でも高い評価を受けたことから、今回の開発・承認に至っている。

 本薬は、副作用発現頻度が明確となる臨床試験を実施していないものの、海外では重大な副作用としてショック、アナフィラキシー、メトヘモグロビン血症の増悪、溶血性貧血、腎不全が報告されている。また、本薬の過量投与によりメトヘモグロビン血症を誘発する可能性があるので、酸素吸入、輸血などの適切な処置を行うこと、さらに重度の溶血性貧血が発症した場合は、血液透析などを考慮することが必要である。