2014年12月17日、抗けいれん薬ミダゾラム(商品名ミダフレッサ静注0.1%)が発売された。適応は「てんかん重積状態」で、修正在胎45週以上の小児に対して次のいずれかの投与法を行う。(1)静脈内投与:0.15mg/kgを1mg/分を目安に投与。必要に応じ1回0.1〜0.3mg/kgの範囲で追加投与するが、初回と追加投与の総量は0.6mg/kgを超えないこと。(2)持続静脈内投与:0.1mg/kg/時より開始し、必要に応じて0.05〜0.1mg/kg/時ずつ増量する。最大投与量は0.4mg/kg/時まで。

 てんかん重積状態(SE)とは、国際抗てんかん連盟によると「発作がある程度の長さ以上に続くか、または、短い発作でも反復し、その間の意識の回復がないもの」と定義されている。小児のSEに対する治療には、国内ではジアゼパム注射製剤(商品名セルシン、ホリゾン他)、海外ではロラゼパム注射製剤(日本未承認)が第一選択薬として、教科書やガイドラインおよび総論で推奨されている。

 日本で使用されているジアゼパムは速効性があるものの、効果に持続性がなく、また希釈性が悪いので持続点滴静注ができない。そのためジアゼパム投与後は追加で、効果持続時間が長いフェニトイン注射製剤(商品名アレビアチン)、フェノバルビタール注射製剤(商品名ノーベルバール)が使用される。

 フェニトインは効果持続時間が長いが、強アルカリで血管刺激性が強い。近年、この局所刺激作用を軽減させたホスフェニトイン(商品名ホストイン)が発売されたが、いずれも循環器系への影響があることから心電図モニターが必要となっている。さらにフェノバルビタールは人工呼吸管理下で投与する必要があるなど、問題点が多かった。

 イミダゾベンゾジアゼピン誘導体であるミダゾラムは、1982年にスイスで承認されて以来、麻酔前投与、全身麻酔の導入および維持、鎮静などの適応で世界100カ国以上で使用されている。日本でも、麻酔前投与薬などの適応でミダゾラム注射製剤(商品名ドルミカム他)が発売されている。

 日本では従来より、第一選択薬ジアゼパムよりも効果持続時間が長いベンゾジアゼピン注射製剤として、ミダゾラムがSEに適応外使用されていた。2009年6月、日本小児神経学会より厚生労働省へ本薬のSEへの適応承認の要望書が提出され、2009年9月には社会保険診療報酬支払基金からも保険診療審査上、使用を認める見解が出されていた。

 以上のことから、SEに対する新しいミダゾラム製剤が開発された。国内臨床試験で高い発作消失率が確認され、安全性に対しても問題となる所見が認められなかったことから、今回の承認発売に至った。

 国内のSE小児患者を対象とした臨床試験では、副作用として発熱、呼吸抑制、発疹、AST上昇が8.6%に認められている。重大な副作用としては呼吸抑制、無呼吸、舌根沈下、心停止、心室頻拍、心室性頻脈、ショック、アナフィラキシー、悪性症候群、依存性が報告されている。

 また催眠鎮静薬である既存の注射製剤との誤投与に注意しなければならない。既存薬のドルミカムはミダゾラムの0.5%製剤であるのに対し、ミダフレッサは0.1%製剤である。