2014年11月25日、抗悪性腫瘍薬ストレプトゾシン(商品名ザノサー点滴静注用1g)が発売された。適応は「膵・消化管神経内分泌腫瘍」で、5日間連日投与法か1週間間隔投与法のいずれかを選択する。

 5日間連日投与法では、1回500mg/m2を1日1回5日間連日点滴静注し、37日間休薬する。これを1サイクルとし、投与を繰り返す。1週間間隔投与法では、1回1000mg/m2を1週間ごとに1日1回点滴静注する。1回の最高投与量は1500mg/m2とされている。

 消化器に発生する神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor、NET)は、年間に人口10万人で3〜5人の新規患者が発生する比較的稀な腫瘍で、その多くは膵臓と消化管に発生する。以前から小腸NETに対してカルチノイドという名称が使用されており、長い間、NETは概念が不明瞭なカルチノイドと呼ばれていた。しかしNETの臨床病理学的研究が進むにつれて、WHO病理組織学的分類の2000年改訂版では、分化度を基軸として分類が作成された。膵・消化管NETは、ホルモン(ガストリン、インスリン、グルカゴンなど)の過剰分泌により様々な症状が現れる「機能性」と、ホルモン分泌による症状がない「非機能性」に大別されている。

 膵・消化管NETに対しては外科的切除による全摘が標準的な治療となっているが、切除不能例では腫瘍増殖を抑えて生命予後を改善させる薬物治療が用いられている。国内では最近、膵NETには2011年にエベロリムス(アフィニトール)、2012年にスニチニブ(スーテント)が、消化管NETには2011年にソマトスタチンアナログのオクトレオチド(サンドスタチン)が承認され、使用されている。

 ストレプトゾシンは、非運動性の好気性グラム陽性菌Streptomyces achromogenesから分離された、細胞障害性のニトロソウレア系抗悪性腫瘍薬である。グルコーストランスポーター2を介して細胞に取り込まれた後、DNAをアルキル化し、DNA合成を阻害することで腫瘍増殖を抑制すると考えられている。欧米では、各種ガイドラインで膵・消化管NETの標準治療薬として推奨されている。1982年米国で承認されて以来、2014年6月現在、米国、カナダ、フランス、イスラエル、スイスの5カ国で発売されている。

 海外のガイドラインなどに基づき、2010年4月に「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で審議され、高い評価が得られたことから、厚生労働省から開発が要請され、今回の承認に至った。また本薬は、2011年11月に希少疾病用医薬品に指定されている。

 国内I/II相試験(対象:切除不能または遠隔転移を有した膵・消化管NET患者)では全例に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主な副作用は血管障害(59.1%)、悪心・便秘(各45.5%)、γ-GTP増加(31.8%)などであり、重大な副作用としては腎障害、骨髄抑制、耐糖能異常、肝障害が報告されている。