2014年9月26日、黄体ホルモン製剤プロゲステロン(商品名ルティナス膣錠100mg)の製造販売が承認された。適応は「生殖補助医療における黄体補充」で、採卵日(またはホルモン補充周期下での凍結胚移植ではエストロゲン投与により子宮内膜が十分な厚さになった時点)から最長10週間(または妊娠12週まで)腟内に投与する。

 近年、日本では晩婚化や出生率低下による少子化が急速に進んでおり、不妊治療は少子化対策の一端を担うものとして重要となっている。中でも体外受精・胚移植(IVF-ET)や卵細胞質内精子注入法(ICSI)などの生殖補助医療ART)は、難治性不妊症に対する重要な治療法として位置づけられている。

 ARTにおける調節卵巣刺激では、ホルモン製剤の投与や採卵に伴う顆粒膜細胞の剥脱による黄体機能の低下が認められる。この黄体機能低下に対して、プロゲステロン投与による黄体補充を行うことで、妊娠率が向上することが確認されている。

 プロゲステロンは、体内の様々な成長因子やサイトカインなどを調節し、胚の子宮内膜への着床過程や子宮内膜機能の改善などに関与している。海外では、標的臓器である子宮にプロゲステロンを効果的に送達できる膣剤の使用が主流となっているが、日本ではARTにおける黄体補充に適応があるプロゲステロン製剤は承認されておらず、天然型プロゲステロンの筋注製剤(商品名プロゲホルモン、ルテウム他)が適応外で使用されてきた。

 海外での使用状況を踏まえ、2009年8月に日本受精着床学会からプロゲステロン膣製剤の早期開発・承認の要望書が厚労省に提出された。ルティナスは「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で高い評価を得て、国内第3相臨床試験(対象:IVF-ETまたはICSIを受ける女性)で有効性及び安全性が確認され、今回の承認に至った。ルティナスは、ARTにおける黄体補充の適応を有した日本初の膣内投与製剤となる。

 海外では、2007年6月に米国で承認されて以降、2014年9月までに世界36カ国で承認されている。

 国内臨床試験で8.3%に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主な副作用は頭痛・傾眠・性器出血(各1.9%)である。重大な副作用として、血栓症が同成分の製剤で認められている。なお、本製剤使用時は、専用のアプリケータを用いて膣内に挿入する。