2014年9月26日、緑内障・高眼圧症治療薬リパスジル塩酸塩水和物(商品名グラナテック点眼液0.4%)の製造販売が承認された。適応は「他の緑内障治療薬が効果不十分または使用できない緑内障、高眼圧症」で、1回1滴、1日2回点眼する。

 緑内障は、眼圧上昇等により視神経が損傷を受ける疾患である。治療が適切に行わないと、視野狭窄から失明に至る。2005年の国内調査では、中途失明原因の第1位となっている。

 緑内障治療の目的は患者の視機能を維持することであり、現在、エビデンスに基づいた確実な治療法は眼圧を低下させることである。治療薬としては、プロスタグランジン(PG)関連薬、β遮断薬、αβ遮断薬、α1遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、交感神経刺激薬、α2作動薬およびそれらの配合剤などが使用されている。

 治療は単剤から開始するのが原則だが、1剤のみでは眼圧を目標値以下にコントロールできず、複数の薬剤を併用する患者は多い。また、副作用や禁忌、慎重投与などの制約により、薬剤の治療選択肢が限られる場合も少なくない。

 今回承認されたリパスジルは、Rhoキナーゼ阻害薬であり、既存の緑内障治療薬と異なる新しい作用機序を有する薬剤である。Rhoキナーゼ阻害薬としては、くも膜下出血の予後改善薬であるファスジル塩酸塩水和物(商品名エリル)が2007年6月から臨床使用されている。

 Rhoキナーゼは、低分子量G蛋白質であるRhoと結合するセリン・スレオニン蛋白リン酸化酵素であり、眼においては毛様体筋、線維柱帯などで発現している。リパスジルはこのRhoキナーゼを阻害し、線維柱帯・シュレム管を介した主流出路からの房水流出を増加させることで、眼圧を低下すると推定されている。

 本薬は、PG関連薬またはβ遮断薬との併用療法下での原発開放隅角緑内障または高眼圧症患者を対象とした無作為化二重盲検並行群間比較試験や、4つの療法(単独、PG関連薬との併用、β遮断薬との併用、配合剤との併用)のオープン試験(長期投与試験)などの結果から、有効性や安全性が確認された。

 なお、リパスジルは、日本で開発された薬剤であり、2014年10月時点では海外において承認されていない。

 臨床試験では副作用が75.5%に認められている。主な副作用は、結膜充血(69.0%)、アレルギー性を含む結膜炎(10.7%)、アレルギー性を含む眼瞼炎(10.3%)などであった。