2014年9月26日、嫌気性菌感染症治療薬メトロニダゾール(商品名アネメトロ点滴静注液500mg)が発売された。適応は「敗血症など嫌気性菌感染症、本剤に感性のクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)、アメーバ赤痢」であり、1回500mgを1日3回、20分以上かけて点滴静注する。難治性または重症感染症には1回500mgを1日4回投与する。

 メトロニダゾールは、経口剤および膣錠(商品名フラジール他)が1961年からトリコモナス症(膣トリコモナスによる感染症)の適応で広く臨床使用されている。さらに2007年以降、細菌性膣症、嫌気性菌感染症、感染性腸炎、ヘリコバクター・ピロリ感染症、アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫感染症への適応が追加承認された。

 嫌気性菌感染症は、重症化した場合に患者が易感染性状態に陥りやすく、難治化、重篤化する症例も少なくない。腹腔内感染症患者のような内服が困難な患者に対する治療のためにも、静注製剤の早急な開発・承認が専門家から熱望されていた。

 これらのことから、メトロニダゾール静注製剤の開発要望が感染症治療の各種団体(日本感染症教育研究会、日本感染症学会、厚生労働科学研究費補助金・政策創薬総合研究事業「輸入熱帯病・寄生虫症に対する希少疾病治療薬を用いた最適な治療法による医療対応の確立に関する研究」班、日本呼吸器学会)から出され、2010年4月27日「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において検討された。この会議で、静注製剤は嫌気性菌感染症およびアメーバ赤痢に対する必要性が高いと認められ、今回の開発・承認に至っている。

 メトロニダゾールは、菌体または原虫内で還元されてニトロソ化合物となる。このニトロソ化合物が、嫌気性菌または原虫に対して強い抗菌活性や抗原虫活性を有する。国内第3相臨床試験では、腹腔内感染症・骨盤内炎症性疾患に対して、セフトリアキソン(商品名ロセフィン他)との併用により有効率96.7%、菌消失率100%と高い治療効果が認められている。

 現在メトロニダゾールは、国内外の各種ガイドラインや教科書で嫌気性菌感染症に対して推奨されている薬剤である。2014年3月現在、海外ではメトロニダゾールの静注製剤は米国をはじめとして、世界30カ国以上で承認されている。

 臨床試験では36.8%に副作用が認められていることに注意する。主な副作用は下痢(23.7%)、悪心(5.3%) などで、重大な副作用は中枢神経障害、末梢神経障害、無菌性髄膜炎、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、急性膵炎、白血球減少、好中球減少が報告されている。