2014年9月2日、ゴーシェ病治療薬ベラグルセラーゼアルファ(商品名ビプリブ点滴静注用400単位)が薬価収載と同時に発売された。適応は「ゴーシェ病の諸症状(貧血、血小板減少症、肝脾腫及び骨症状)の改善」であり、1回60単位/圓魍崕気播静静注する。

 ゴーシェ病はライソゾーム病の一種で、常染色体劣性遺伝疾患である。遺伝子変異により、ライソゾーム内の酵素で、糖脂質の分解に関与するβ-グルコセレブロシダーゼに異常が生じ、同酵素が不足または欠損することで、脂質などの中間代謝物が細胞に蓄積する。その結果、体内の組織や脾臓、肝臓、骨、脳を含む主要な器官に、進行性で不可逆的な障害が生じる。

 中枢神経症状の有無および重症度により1〜3型に分類され、世界では中枢神経症状のない1型が最も多い。日本では現在約150人のゴーシェ病患者が同定されており、発症頻度は4〜6万人に1人と推定されている。

 ゴーシェ病の治療では、神経症状の進行抑制と改善を期待して骨髄移植も用いられるが、ドナーの問題や副作用のリスクから実施が限定されている。現時点での中心的治療法は、貧血などの血液学的異常および臓器障害の改善が期待できる酵素補充療法である。ただし酵素が血液脳関門を通過できないため、神経症状への効果は期待できない。

 酵素補充療法に使用する薬剤としては、既に1998年3月よりイミグルセラーゼ(商品名セレザイム)が臨床使用されており、ベラグルセラーゼは2番目となる酵素補充療法用剤である。

 ベラグルセラーゼは、ヒトグルコセレブロシターゼに高マンノース型糖鎖を付加した糖蛋白質である。この糖鎖により、マンノース受容体を介して標的細胞のマクロファージへ効率よく取り込まれる。イミグルセラーゼと異なり、ベラグルセラーゼは製造工程で動物由来原料を用いていない。

 海外臨床試験では、対照薬(イミグルセラーゼ)に対する非劣性および薬剤切替えでの有効性が認められた。これらの結果から本薬は2010年2月に米国で承認され、2014年2月現在、世界45カ国で承認されている。日本では、2013年に希少疾病用医薬品の指定を受け、欧米での臨床試験および日本人患者6例を対象とした多施設共同非盲検第3相臨床試験等のデータを基に、今回の承認に至った。

 国内臨床試験では50.0%に副作用が認められている。主な副作用は、悪心/嘔吐、湿疹、網膜剥離/増殖性網膜症(各16.7%)であった。重大な副作用はinfusion-related reactionが報告されている。また、国内の治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、再審査期間中の全症例を対象にした使用成績調査の実施が義務づけられていることに注意する。