2014年9月5日、抗悪性腫瘍薬アレクチニブ塩酸塩(商品名アレセンサカプセル20mg、同カプセル40mg)が発売された。ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の患者に、1回300mgを1日2回経口投与する。

 WHOによると、世界において肺癌による死亡者数は全がん死の中で最も多く、年間159万人ほどがこの疾患で死亡している。肺癌のうち85%は非小細胞肺癌NSCLC)といわれ、NSCLCの約75%は診断時に進行または転移が認められる。5年生存率はわずか6%であり、進行NSCLCに対する現在の標準治療の奏功率は15〜35%であるといわれている。

 2007年、日本人研究者により、NSCLC患者の検体からEML4(微小管会合蛋白)-ALK融合遺伝子が発見された。この融合遺伝子から産生されるEML4-ALK融合蛋白は、内在するチロシンキナーゼが恒常的に活性化することにより、強力な癌化能を有する。疫学調査によると、NSCLC患者のうち3〜5%程度がALK融合遺伝子陽性だと推定されている。

 アレクチニブは、日本で創薬されたチロシンキナーゼ阻害薬であり、ALKとその発癌性変異体(ALK融合蛋白及び特定のALK変異体)のチロシンキナーゼ活性を阻害する。2012年5月より臨床使用されているクリゾチニブ(商品名ザーコリ)に次ぐ、2番目のALK阻害薬である。アレクチニブは2013年9月に希少疾病用医薬品に指定された。

 有効性に関しては、1レジメン以上の化学療法歴を有するALK融合遺伝子陽性の進行・再発NSCLC患者を対象とした国内第1/2相試験の第2相部分において、奏功率が93.5%(完全奏功率19.6%)、無増悪生存期間が中央値27.7カ月であり、2年生存割合は79%と報告されている。

 本薬は、ALK融合遺伝子陽性が確認された患者に投与することとなっている。そのため、事前に対象患者において免疫組織化学染色法および蛍光in situハイブリダイゼーション法を測定原理とする体外診断薬(コンパニオン診断薬)を用いて確認する必要がある。

 国内第1/2相試験では、副作用(臨床検査値異常を含む)が96.6%に認められている。主な副作用は、血中ビリルビン増加(36.2%)、味覚異常・発疹(各34.5%)、AST上昇(32.8%)、血中クレアチニン増加(31.0%)などである。重大な副作用は、間質性肺疾患、肝機能障害、好中球減少、白血球減少、消化管穿孔、血栓塞栓症が報告されている。

 国内での治験症例が少ないことから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでは全使用症例を対象に使用成績調査を実施することが承認条件となっていることにも留意する。