2014年9月4日、抗悪性腫瘍薬カバジタキセル アセトン付加物(商品名ジェブタナ点滴静注60mg)が発売された。適応は「前立腺癌」で、プレドニゾロンを併用し1日1回25mg/m2を1時間かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、本薬は「外科的または内科的去勢術を行い、進行または再発が確認された患者」に使用することとされている。

 前立腺癌は、男性ホルモンであるアンドロゲンにより増殖する癌であり、治療ではアンドロゲンを産生する精巣を摘除する外科手術(外科的去勢術)や、アンドロゲンの作用を抑制するホルモン療法(内科的去勢術)が行われる。

 ホルモン療法は、その有効性が外科的去勢術と同等(非劣性)であることが確認され、現在、中心的な治療として広く行われている。しかしホルモン療法を長期間継続すると、徐々に抵抗性を示す癌細胞が増え、治療効果が消失してしまうことが知られている。このホルモン療法抵抗性となった状態は、外科的去勢後に症状が増悪した患者と合わせて「去勢抵抗性前立腺癌」と称されている。

 この去勢抵抗性前立腺癌の治療には、タキサン系抗癌薬のドセタキセル(商品名タキソテールほか)や、今年2014年5月から臨床使用されるようになった新しい抗アンドロゲン薬のエンザルタミド(商品名イクスタンジ)がある。

 今回承認されたカバジタキセルは、ドセタキセルと同じタキサン系抗癌薬である。チューブリン重合を促進し微小管を安定化することによって細胞分裂を阻害し、細胞死を誘発して腫瘍増殖を抑制する。海外ではNCCN(National Comprehensive Cancer Network)やEAU(European Association of Urology)などのガイドラインにおいて、本薬をドセタキセルを含む前治療歴のある去勢抵抗性前立腺癌に用いることが推奨されている。

 海外で臨床使用されている本薬は、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で高い評価を受け、2012年4月に厚生労働省から製薬会社へ開発が要請された。その後、ホルモン不応性前立腺癌患者において国内第1相臨床試験、海外第3相国際共同試験成績などに基づいて承認申請が行われ、今回の承認に至った。

 本薬は国内第1相臨床試験で100%、海外第3相臨床試験で84.4%と高い頻度で副作用が認められていることに注意する。好中球減少症や発熱性好中球減少症などの骨髄抑制、腎不全など数多くの有害事象が報告されているので、最新の添付文書で確認することが肝要である。