2014年7月4日、慢性閉塞性肺疾患治療薬ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩(商品名アノーロエリプタ7吸入用)の製造販売が承認された。適応は、慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解。単一操作で作動する定量式粉末吸入器が採用されており、1日1回1吸入する。

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙習慣が主な原因となる肺の生活習慣病で、高齢者の罹患割合が高いことが知られている。息切れなどによって日常生活に支障を来し、進行すると酸素吸入が必要となる。国内外でいくつかのガイドラインがあり、2013年には日本呼吸器学会より「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第4版」が公表されている。

 COPDの薬物治療では、抗コリン薬やβ2刺激薬などの気管支拡張薬(特に吸入製剤)が主に使用されている。2013年11月からは、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)のグリコピロニウム(商品名シーブリ)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)のインダカテロール(商品名オンブレス)を配合したウルティブロが臨床使用されている。

 アノーロは、ウルティブロに次ぐ2番目のLAMA/LABA配合剤である。具体的には、LAMAとしてウメクリジニウムを、LABAとしてビランテロールを配合する。ウメクリジニウムは国内では承認されていないが、ビランテロールはステロイド薬フルチカゾンとの配合剤(商品名レルベア)が喘息治療薬として2013年12月より販売されている。

 本薬はウルティブロと同様、単剤では労作時の息切れなどをコントロールできない患者に有効で、吸入操作が1回で済むため、患者の負担軽減やコンプライアンス向上が期待できる。一体型となった吸入器(エリプタ)は、レルベアにも使用されており、1回の吸入により、2つのストリップからそれぞれブリスター1個分の内容物が同時に放出される機構となっている。

 日本人を含む第3相国際共同臨床試験や国内長期投与試験などで、本薬により呼吸機能(トラフFEV1値およびFEV1値)が改善されたことが報告されている。海外ではCOPDの適応で、2013年12月に米国、2014年5月に欧州で承認されている。

 使用の際は、第3相国際共同臨床試験で副作用(臨床検査値異常を含む)が7.5%に認められていることに注意する。主な副作用は頭痛・口内乾燥(各0.9%)、味覚異常(0.6%)であり、重大な副作用としては心房細動が報告されている。

 患者に対しては、各薬剤で単独投与時に確認されている副作用に注意するとともに、過度の使用により不整脈や心停止などの重大な副作用の発現があることを十分理解させ、1日1回なるべく同じ時間帯に吸入するよう(1日1回を超えて投与しないよう)指導する必要がある。