2014年7月4日、結核化学療法薬デラマニド(商品名デルティバ錠50mg)の製造販売が承認された。適応は「多剤耐性肺結核」で、1回100mgを1日2回、朝・夕食後に投与する。

 現在、結核の標準治療では、リファンピシン(RFP:商品名リファジン他)、イソニアジド(INH:商品名イスコチン、イソニアジド、ヒドラ他)、エタンブトール(EB:商品名エサンブトール、エブトール他)、ピラジナミド(PZA:商品名ピラマイド)の4剤併用による2カ月間の強化療法に続き、RFPとINHの併用による4カ月の維持療法を行うこととされている。本治療プログラムでの治癒率は、薬剤感受性結核患者に対しては約90%である。

 一方、第1選択薬であるRFPとINHに耐性を有する多剤耐性肺結核患者に対しては、WHOのガイドラインでは、EBとPZAの2剤にカナマイシンなどの注射用抗結核薬1剤とレボフロキサシン(商品名クラビット他)などのフルオロキノロン系抗菌薬1剤を加えた、4剤以上の併用を強く勧めている。しかし、これらの治療プログラムを行ったとしても治癒率が50〜70%、死亡率が約25%と報告されている。

 日本では、年間110〜120例の多剤耐性肺結核患者が発生している。またINHとRFPだけでなく注射用抗結核薬とフルオロキノロン系抗菌薬に対しても耐性を示す「超多剤耐性肺結核」の割合が諸外国よりも高く、2006年には多剤耐性肺結核患者の約29%が超多剤耐性だったという調査結果が報告されている。

 デラマニドは、結核菌を含む抗酸菌に特異的なミコール酸の生合成を抑制し、抗結核作用を発揮する。非臨床試験や初期臨床第二相試験では最小発育阻止濃度はINHとRFPより低く、強力な抗結核活性を有することが確認されている。

 日本人を含む多剤耐性肺結核患者を対象とした国際共同試験では、標準治療にデラマニドを2カ月間上乗せしたところ、喀痰中菌陰性化率はプラセボ群に比べ有意に高かった。さらに、2年後の最終治療転帰における有効な治療転帰患者の割合は、標準治療にデラマニドを2カ月以上上乗せした群で74.5%、上乗せが2カ月以下だった群が55.0%であることが報告されている。

 また、デラマニドは既存抗結核薬と交叉耐性を示さず、好気および嫌気環境下での結核菌に対しても抗結核活性を有する上に、細胞内結核菌に対しても殺菌作用を有することが認められている。海外では欧州で2014年4月に承認され、5月に英国で発売された。日本では2008年2月8日に希少疾病用医薬品の指定を受けている。

 承認時までの国際共同試験で副作用(臨床検査値異常を含む)が52.7%認められていることに十分注意する。主な副作用は、不眠症(12.2%)、頭痛(10.4%)、QT延長(7.1%)、傾眠(6.3%)などであり、重大な副作用としてはQT延長の発現が報告されている。

 なお本薬は、耐性菌出現防止および適正使用の推進のため、製薬会社が行うRAP(Responsible Access Program)に登録された医師・薬剤師のいる登録医療機関・薬局において、医師が登録した患者にのみ使用できる。