2014年7月4日、抗悪性腫瘍薬ニボルマブ(商品名オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg)の製造販売が承認された。適応は「根治切除不能な悪性黒色腫」で、成人には1回2mg/kgを3週間間隔で点滴静注する。

 黒色腫は、皮膚の色素を産生する細胞が悪性化した腫瘍であり、皮膚がんの中で最も悪性度が高いと言われている。発生部位としては、足底が最も多く、体幹、顔面、爪などのあらゆる皮膚に発生する可能性がある。発生原因は、白人の罹患率が極めて高いことなどから紫外線が関与するという意見もあるが、詳細は解明されていない。

 2012年には、全世界で推定23万人が悪性黒色腫と診断された。早期の段階で治療すれば大部分が治癒可能だが、皮膚やリンパ節に転移を認めるIV期まで進行すると、5年生存率は10%前後になると言われている。他のがんと同様に早期発見、早期治療が最も重要である。

 現時点の治療法としては、摘出手術などの外科療法の他に、速中性子線や重粒子線を用いた放射線療法、温熱療法、免疫療法、化学療法などが試みられている。日本では、進行性の悪性黒色腫に対する標準化学療法が、抗悪性腫瘍薬ダカルバジンの単独療法のみであり、さらに外科手術による切除が不能な悪性黒色腫の患者の予後は極めて悪いことから、新たな薬剤の開発・承認が望まれていた。

 これまでの基礎・臨床研究から、活性化したリンパ球(T細胞、B細胞およびナチュラルキラーT細胞)の表面にある受容体PD-1は、リンパ球の活性化を抑制しており、がん細胞はPD-1を利用して免疫反応から逃れていることが確認されている。今回承認されたニボルマブは、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体であり、PD-1受容体を阻害することで、がん細胞を異物として除去する免疫反応を亢進できると期待されている。

 本薬は、PD-1を標的とする治療薬としては、世界初となる薬剤である。承認時までの国内第1相および海外第1相反復投与試験(対象:進行・再発固形がん患者)で有効性が確認されている。さらに、国内第2相試験(対象:ダカルバジンによる化学療法歴を有する根治切除不能な進行・再発の悪性黒色腫患者)においても有効性と安全性が確認されている。また、本薬は2013年6月17日に「悪性黒色腫」の適応で希少疾病用医薬品として指定されている。

 薬剤使用に際しては、国内第2相試験で85.7%に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められていることに注意する必要がある。主な副作用は掻痒症(31.4%)、遊離トリヨードチロニン減少(22.9%)、血中TSH増加(20.0%)などであり、重大な副作用としては間質性肺疾患、肝機能障害、肝炎、甲状腺機能障害、Infusion reactionが報告されている。