2014年3月24日、駆虫薬フェノトリン(商品名スミスリンローション5%)の製造販売が承認された。適応は「疥癬」で、用法・用量は「1週間間隔で1回1本(30g)、頸部以下(頸部から足底まで)の皮膚に塗布し、塗布後12時間以上経過した後に入浴、シャワー等で洗浄、除去」となっている。なお、同一成分のパウダーおよびシャンプーは、1976年から家庭用殺虫剤として広く使用されている。

 疥癬は、ヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚の角質層に寄生してヒトからヒトへ直接接触により感染する、特異的な皮疹と掻痒を伴う疾患である。疥癬は、ヒゼンダニの寄生数から、一般的に見られる通常疥癬と角化型疥癬(ノルウェー疥癬)に大別される。中でも重症である角化型疥癬は、施設内での集団発生に至ることもあり、相応の感染対策が必要とされている。

 治療薬としては、保険適用となっている外用薬のイオウ、内用薬のイベルメクチン(商品名ストロメクール)のほか、保険は適用できないが、外用薬のクロタミトン(商品名オイラックス)、試薬の安息香酸ベンジルやγ-BHCを基剤に混合した外用の特殊製剤などが使用されている。

 フェノトリンは、安全性が高いピレスロイド系の殺虫剤であり、従来からアタマジラミやケジラミなどの治療に使用されるOTC薬として販売されている。2007年に発行された『疥癬診療ガイドライン第2版』(日本皮膚科学会)では、フェノトリンを「安全性が高いので、今後の疥癬に対する外用剤として開発が期待されている」と紹介している。

 フェノトリンなどのピレスロイド系殺虫剤は、神経細胞のNaチャネルに作用し、その閉塞を遅らせることにより、反復的な脱分極あるいは神経伝導を遮断することで、殺虫効果を発揮する。国内での非盲検非対照試験(疥癬患者を対象として30gを頸部以下の全身に1週間隔で2回塗布)では、有効性(有効率92.6%)及び安全性が確認されている。

 臨床試験では、何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が7.8%に認められている。主な副作用は、皮膚炎、AST上昇、ALT上昇(各2.0%)であった。