2014年3月24日、抗悪性腫瘍薬エンザルタミド(商品名イクスタンジカプセル40mg)の製造販売が承認された。適応は「去勢抵抗性前立腺癌」であり、1日1回160mgを経口投与する。

 前立腺癌は、男性ホルモンであるアンドロゲンにより増殖する癌であることから、特に初期治療ではアンドロゲンの除去が目標となる。具体的には、アンドロゲンを産生する精巣を摘除する外科手術(外科的去勢法)や、アンドロゲンの作用を抑制する内科的治療(ホルモン療法)が行われる。

 中でもホルモン療法は、その有効性が外科的去勢法と同等(非劣性)であることが確認され、現在、中心的な治療として広く行われている。ホルモン療法では、精巣でのアンドロゲン合成を抑制するゴセレリン(商品名ゾラデックス)などのLH-RHアゴニストや、副腎由来のアンドロゲンの作用も抑制するビカルタミド(商品名カソデックス)などの抗アンドロゲン薬が使用される。さらに、これらを併用するmaximum androgen blockade(MAB)療法も行われている。

 しかし一方で、ホルモン療法を長期間継続すると、徐々にホルモン療法に抵抗性を示す癌細胞が増え、治療効果が消失してしまうことが知られている。このホルモン療法抵抗性となった状態は、外科的去勢後に症状が増悪した患者と合わせて「去勢抵抗性前立腺癌」と称されている。去勢抵抗性前立腺癌の治療には、タキサン系抗癌薬のドセタキセル(商品名タキソテールほか)などが使用されている。

 今回承認されたエンザルタミドは、去勢抵抗性前立腺癌細胞において、アンドロゲン受容体のシグナル伝達を複数の段階で阻害する新規の抗アンドロゲン薬である。非臨床試験では、同薬によるアンドロゲン受容体標的遺伝子の発現抑制、癌細胞の抑制、癌細胞アポトーシスの誘導、腫瘍の退縮誘導が確認されている。また去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とした国内第1/2相臨床試験では、忍容性(用量斬増コホート)と腫瘍縮小効果(ドセタキセルを含む化学療法後の病勢進行症例追加コホート)が確認され、海外第3相臨床試験(対象:ドセタキセルを含む化学療法後に病勢が進行した去勢抵抗性前立腺癌患者)でも有効性と安全性が確認されている。

 国内外の臨床試験では、何らかの副作用が66〜69.3%に認められている。主な副作用は、高血圧、便秘、疲労、食欲減退、体重減少、心電図QT延長、無力症、ほてり、悪心などであり、重大な副作用として痙攣発作が報告されている。