2014年1月17日、ホモシスチン尿症治療薬ベタイン(商品名サイスタダン原末)の製造販売が承認された。適応は「ホモシスチン尿症」であり、血漿中ホモシステイン値、血漿中メチオニン値等を参考にしながら1日2回、経口投与する。

 ホモシスチン尿症は、先天的な酵素欠損または代謝異常のためにメチオニンの代謝産物であるホモシステイン及びホモシスチンが血中に蓄積し、尿中へ大量のホモシスチンが排泄される先天性アミノ酸代謝異常の疾患である。主な症状は、知能障害、骨格筋異常、眼の異常などで、コントロールが不良な場合には、血栓症や塞栓症により死に至るリスクが高まることが報告されている。

 ホモスシチン尿症患者はこれまで、食事療法(低メチオニン・高シスチン食)を生涯続けていたが、食事療法以外に治療法は存在していない状況だった。この食事療法も幼児期以降は厳格に守ることが難しく、しばしばコントロールできないことが問題となっていた。

 今回承認されたベタインは、メチオニン代謝経路においてベタイン・ホモシステインメチル基転移酵素(BHMT)の基質として、ホモシステインにメチル基を供与することにより、ホモシステインの再メチル化を促進し、ホモシステインをメチオニンにすることによって、体液中のホモシステインを低下させる薬剤である。

 海外では、2013年9月現在、米国及び欧州(EU)をはじめ、世界34カ国で承認されており、世界的な小児科学の教科書(Nelson Textbook of Pediatrics)にも標準的治療薬として明記されている。日本では、2005年1月に「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で審議され、その後、2012年3月に希少疾病用医薬品の指定を受けている。また、開発費は、2012年度の未承認薬開発支援事業(厚生労働省)と希少疾病用医薬品・希少疾病用医療機器試験研究(医薬基盤研究所)の助成を受けている。

 薬剤の使用に際しては、副作用として、発熱、感染性腸炎、悪心、嘔吐、変色歯、血中メチオニン値上昇などが認められていることに留意するとともに、重大な副作用としては脳浮腫に注意が必要である。なお本薬は、安全性や有効性を確認する観点から、全投与症例において使用成績調査を実施することが承認条件となっている。