2014年1月17日、抗悪性腫瘍薬の血管外漏出治療薬、デクスラゾキサン(商品名サビーン点滴静注用500mg)が製造承認を取得した。適応は「アントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬の血管外漏出」であり、血管外漏出後6時間以内に可能な限り速やかに1〜2時間かけて点滴静注する薬剤である。

 多くの抗悪性腫瘍薬は、正常細胞にも細胞毒性を示すことから、抗悪性腫瘍薬の投与により、血管内皮細胞を傷害し、静脈炎や静脈血栓を起こす危険性がある。また、カテーテルの先端の移動などにより、血管外に漏出すると、周囲組織の炎症や壊死を引き起こすことが報告されている。

 抗悪性腫瘍薬の種類により、血管外漏出時の組織侵襲の程度は異なるが、中でも、ドキソルビシン(商品名アドリアシンほか)などのアントラサイクリン系薬剤は程度がひどく、早期発見と処置が重要となる。アントラサイクリン系薬剤は、少量の漏出であっても強い痛みが生じ、腫脹・水泡・壊死などの重篤な皮膚障害を起こし、結果的に潰瘍形成に至る。

 従来、アントラサイクリン系薬剤の血管外漏出時には、その処置として、漏出液の吸引、ステロイド剤などの投与、冷罨法・温罨法、外科的処置などを組み合わせて行われてきたが、これらの処置・治療法の大部分は明確なエビデンスがないのが現状であった。

 デクスラゾキサンは、トポイソメラーゼIIの作用を阻害することにより、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬が血管外漏出した際の細胞障害を抑制するものと推測されている。今回の承認に至った経緯としては、海外で既に2013年8月現在、欧米など32カ国で承認されており、未承認薬等の開発の要望に関する意見募集で厚生労働省に早期承認の要望が出されたことによる。

 薬剤投与に際しては、承認時における海外での臨床試験において、何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が71.3%に認められているので、十分な注意が必要である。主な副作用は、悪心(27.5%)、発熱・注射部位疼痛(各13.8%)、嘔吐(12.5%)であり、重大な副作用としては骨髄抑制(白血球減少、好中球減少、血小板減少、ヘモグロビン減少)に注意が必要である。