2014年1月17日、抗悪性リンパ腫治療薬のブレンツキシマブ ベドチン(商品名アドセトリス点滴静注用50mg)が製造承認を取得した。適応は、「再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫、非分化大細胞リンパ腫」であり、用法・用量は「3週間に1回1.8mg/kgを点滴静注」となっている。

 ホジキンリンパ腫(HL)は、リンパ系組織から発生する腫瘍(リンパ腫)の一種であり、病理組織学的には単核のホジキン細胞と多核のReed-Sternberg(RS)細胞と呼ばれる悪性細胞の存在が特徴といわれている。また、ホジキンリンパ腫(結節性リンパ球優位型を除く)では、腫瘍細胞表面にはCD30抗原が発現している。腫瘍細胞のCD30は、ホジキンリンパ腫のRS細胞以外にも、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)及びその他のリンパ増殖性細胞表面にも発現している。

 一般的にホジキンリンパ腫は、病期ステージI期〜IV期に分類される。標準治療では、アドリアマイシン(商品名アドリアシンなど)、ブレオマイシン(商品名ブレオ)、ビンブラスチン(商品名エクザール)、ダカルバジン(商品名ダカルバジン)を併用するABVD療法や、病変領域への放射線照射が行われる。しかし、これらの治療法では再発又は難治性のホジキンリンパ腫も少なからず認められるが、そうした場合の標準的治療はなく、予後不良な疾患といわれている。

 ブレンツキシマブ ベドチンは、CD30陽性腫瘍細胞を標的としたモノクローナル抗体(ブレンツキシマブ)と、微小管(チューブリン)阻害作用を持つ低分子薬剤(モノメチルアウリスタチンE:MMAE)とを、プロテアーゼで切断されるリンカーを介して結合させた抗体薬物複合体(ADC)である。CD30陽性腫瘍細胞のCD30に結合し、複合体(ブレンツキシマブ ベドチン‐CD30複合体)として選択的に細胞内へ取り込まれた後、MMAEを放出することで腫瘍増殖抑制作用を発揮する。

 再発・難治性のCD30陽性ホジキンリンパ腫及び再発・難治性のCD30陽性全身性未分化大細胞リンパ腫を対象とした、国内の第1/2相臨床試験や海外での第2相試験では、有効性と安全性が確認されている。海外では、2011年8月に米国、2012年10月に欧州、2013年2月にカナダなどで承認され、日本では、2012年3月に希少疾病用医薬品の指定を受けている。

 薬剤使用に際しては、国内の第1/2臨床試験において全症例で何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められているので、十分な注意が必要である。主な副作用は、リンパ球減少症(75%)、好中球減少症・白血球減少症(各65%)、末梢性感覚ニューロパチー(60%)、貧血(35%)、疲労・鼻咽頭炎(各30%)、LDH増加・発疹(各25%)、食欲減退・悪心・ALT増加・AST増加・下痢・上気道感染(各20%)などであった。また重大な副作用としては、末梢神経障害、感染症、進行性多巣性白質脳症(PML)、骨髄抑制、Infusion reaction、腫瘍崩壊症候群、皮膚粘膜眼症候群、急性膵炎、劇症肝炎・肝機能障害、肺障害が報告されている。