2013年11月19日、持続型赤血球造血刺激因子製剤であるネスプ注射液(一般名:ダルベポエチンアルファ)の5μgプラシリンジ製剤が薬価収載された。本薬では、既に10μg、15μg、20μg、30μg、40μg、60μg、120μg、180μgの各プラシリンジ製剤(0.5mL)が臨床使用されており、今回、最も小さな規格が追加されたことになる。適応は、どの製剤も「腎性貧血」である。

 腎性貧血とは、腎尿細管周囲の間質細胞におけるエリスロポエチンEPO)の産生低下により、造血機能が低下した状態である。腎機能低下の進行に伴って出現し、透析療法を行っている腎不全患者はもちろん、保存期の腎不全患者にも発症する。腎不全合併症として最も頻度が高い症状の一つである。

 腎性貧血の治療では、かつては頻回の輸血が行われていたが、ヘモクロマトーシスやウイルス性肝炎を発症するリスクが問題であった。その後、1990年には、遺伝子組換え技術で創製されたEPO製剤エポエチンアルファ(商品名エスポー)、エポエチンベータ(商品名エポジン)の登場で、輸血を必要とする患者が激減し、腎性貧血の治療成績が飛躍的に向上した。

 ダルベポエチンアルファは、EPO製剤のアミノ酸配列の一部を改変し、新たなN-結合型糖鎖を2本付加させることで、血中半減期を延長し、持続的な赤血球増加作用を実現した製剤である。持続性が高いことから、従来のEPO製剤に比べて投与頻度を減らすことが可能となり、患者の負担を軽減することができる特徴がある。また、注射回数の減少は、医療事故防止の観点からも望ましいといえる。

 ダルベポエチンアルファ製剤のネスプは、静注用製剤が2007年7月「透析施行中の腎性貧血」の適応で発売され、その後、静注用製剤は2009年5月に機能性と識別性を向上させたプラスチックシリンジに変更された。また、投与初期に使用できる注射液も2010年4月「腎性貧血」で発売された。さらに、2012年8月にはすべての製剤の液量を0.5mLに統一し、2013年9月には「小児腎性貧血」が適応追加となった。今回登場した5μg製剤は、小児腎性貧血の適応追加とともに、用量に適合するために承認された規格である。

 小児用量追加承認に当たっての国内臨床試験結果では、対象症例が少なく副作用は認められていないものの、成人での臨床試験では32.2%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主なものは、血圧上昇(17.0%)、シャント血栓・閉塞(3.0%)、頭痛(1.9%)、倦怠感(1.4%)であった。また重大な副作用として、脳梗塞(0.9%)、脳出血(0.1%)、肝機能障害・黄疸(0.1%)、高血圧性脳症、ショック、アナフィラキシー、赤芽球癆、心筋梗塞・肺梗塞に注意が必要である。