2013年11月19日、抗精神病薬のパリペリドンパルミチン酸エステル(商品名ゼプリオン水懸筋注25mgシリンジ、同水懸筋注50mgシリンジ、同水懸筋注75mgシリンジ、同水懸筋注100mgシリンジ、同水懸筋注150mgシリンジ)が薬価収載され、発売された。本薬は、既に9月20日に製造承認を取得している。

 適応は「統合失調症」で、用法・用量は「成人、初回150mg、1週間後に2回目100mgを三角筋内に投与。その後は、4週に1回、75mgを三角筋又は臀部筋内に与投与し、患者の状態により25mg〜150mgの範囲で投与するが、増量は1回50mgまで」となっている。なお、本薬の有効成分であるパリペリドンは、2011年1月から内服製剤(商品名インヴェガ)が発売されている。

 統合失調症は、難治性の慢性精神疾患であり、幻覚や妄想などの陽性症状や、感情の鈍麻や会話の乏しさなどの陰性症状、認知障害などが認められる。日本では、統合失調症あるいは類似の診断名で医療機関を受診している患者数は、2008年時点で79.5万人と推定されている。

 統合失調症治療では、初発時や急性期の症状緩和以外に、維持期の精神症状の再発・再燃予防、患者のQOL向上が目標となる。治療の中心となる薬物療法では、有効性や安全性の観点から、従来のハロペリドール(商品名セレネース)などの定型抗精神病薬よりも、リスペリドン(商品名リスパダールほか)などの非定型抗精神病薬を第一選択で使用することが、ガイドラインなどで推奨されている。

 また最近では、薬物療法に対するコンプライアンスの向上が治療成績に深く関与することが明らかになり、より投与回数が少なく、有効性と安全性が高い薬剤へのニーズが高まっている。

 今回発売されたゼプリオンは、筋肉内投与することで投与部位で徐々に溶解し、活性本体のパリペリドンとなる持効性の筋肉内注射用プレフィルドシリンジ製剤である。パリペリドンは、統合失調症の陽性症状改善(ドパミンD2受容体拮抗作用)だけでなく、陰性症状改善(セロトニン5-HT2A受容体拮抗作用)の作用を有するセロトニン・ドパミン・アンタゴニスト(SDA)である。なおパリペリドンは、リスペリドンの主活性代謝物である。

 ゼプリオンは、4週に1回の投与で血漿中濃度を維持でき、導入レジメン(初回150mg、1週間後に100mgを三角筋内に投与)を用いることで、投与開始期における経口薬剤の併用を必要としないのが特徴である。海外では、2009年に米国、2011年に欧州で承認されており、2012年12月現在、60以上の国と地域で承認されている。

 薬剤使用に際しては、国内外の臨床試験結果で、何らかの副作用が71.7%に認められていることに十分注意する必要がある。主な副作用は、高プロラクチン血症(27.6%)、注射部位疼痛(14.6%)、注射部位硬結(10.6%)などであり、重大な副作用では、悪性症候群、遅発性ジスキネジアなどに注意しなければならない。