2013年11月19日、緑内障・高眼圧症治療薬のブリンゾラミド・チモロールマレイン酸塩(商品名アゾルガ配合懸濁性点眼液)が薬価収載され、発売された。本薬は、既に9月20日に製造承認を取得している。本薬は、従来から点眼薬の成分として使用されている炭酸脱水酵素阻害薬のブリンゾラミド(商品名エイゾプト)と、β遮断薬であるチモロールマレイン酸塩(商品名チモプトールリズモンほか)とを配合した点眼薬である。1回1滴、1日2回点眼する。

 緑内障は、眼圧上昇等により視神経が損傷を受け、視野が徐々に欠け、放置すると失明の危険性がある疾患である。日本では40歳以上の20人に1人が発症しており、視覚障害の原因の第1位となっている。緑内障の中には、眼圧が上昇しないタイプ(正常眼圧緑内障)も多いことから未治療の罹患患者も多く、早期発見・早期治療が重要といわれている。

 緑内障症・高眼圧症で唯一確立された治療は、眼圧を下降させることであり、使用される治療薬としては、房水排出促進作用のあるプロスタグランジン誘導体、房水産生抑制作用のある炭酸脱水酵素阻害薬やβ遮断薬の点眼薬が中心的に使用されている。

 緑内障患者の中には、1剤だけの点眼薬では長期間の眼圧コントロールが難しく、2剤を併用する例も多くなっている。しかし、点眼薬を2剤以上併用する場合には、続けて点眼すると涙嚢から薬液があふれ出してしまうことから、点眼間隔を空けることが必要であり、そのことで点眼のし忘れなどが起こり、コンプライアンス低下が起こることが問題となっていた。

 アゾルガ配合懸濁性配合点眼薬は、配合された炭酸脱水酵素阻害薬とβ遮断薬により、房水産生を抑制し、眼圧を低下させる。配合薬であることから、2種類の薬剤の点眼が1回で済み、コンプライアンスの向上が期待でき、患者の利便性も高い。

 緑内障・高眼圧治療領域で使用される配合点眼薬としては、これまでに4製剤が発売されている。そのうち3製剤は、プロスタグランジン誘導体とβ遮断薬(チモロールマレイン酸塩)を配合した製剤であり、もう1製剤は、炭酸脱水酵素阻害薬のドルゾラミド塩酸塩とβ遮断薬のチモロールマレイン酸塩とを配合した「コソプト」である。アゾルガは、コソプトに続いて2番目となる炭酸脱水酵素阻害薬とβ遮断薬の配合点眼薬となる。

 作用機序が異なるこれら2剤の併用効果は、国内外の複数の臨床試験により確認されている。海外では、2008年に欧州(EU)で承認されて以降、2013年5月現在、100カ国以上の国と地域で承認されている。

 薬剤使用に際しては、国内の第3相試験で10.6%に何らかの副作用が認められているので、十分な注意が必要である。主な副作用は、眼刺激(3.5%)、点状角膜炎(3.2%)、味覚異常(1.4%)などであり、重大な副作用としては、眼類天疱瘡、気管支喘息、呼吸困難、呼吸不全、心ブロック、うっ血性心不全、脳虚血、心停止、脳血管障害、全身性エリテマトーデスに注意が必要である。