2013年9月20日、家族性アミロイドポリニューロパチー治療薬のタファミジスメグルミン(商品名ビンダケルカプセル20mg)が製造承認を取得した。適応は「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの末梢神経障害の進行抑制」で、1日1回20mgを経口投与する製剤である。

 家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)は成人期に末梢神経、自律神経系、心、腎、消化管、眼などにアミロイド沈着を来たし臓器障害を起こす、予後不良の常染色体優性の全身性アミロイドーシスである。FAPの中でも異型トランスサイレチン(TTR)が原因となるTTR型FAPが最も患者数が多いことが報告されている。日本においてFAPは、遺伝性ニューロパチーとして2番目に多い疾患であり、20〜30歳代に発症することが多く、症状は緩徐進行性で、発症からの平均余命は約10年といわれている。

 現在、様々な対症療法や根治療法に関する研究が行われているものの、疾患の進行抑制に関してエビデンスが確立されているのは肝移植のみである。しかし、肝移植はドナー不足や移植手術のリスクの問題から、適用される患者は限定されている。

 今回承認されたビンダケルは、世界初となるTTR型FAP治療薬である。TTRの4量体の解離及び変性を抑制することでアミロイド形成を阻害し、末梢神経障害の進行を抑制する。海外での臨床試験で、TTR型FAP患者における末梢神経障害の進行遅延、QOL低下の抑制、栄養状態の改善が確認されており、投与開始後早期のTTRの安定化や、試験期間を通しての安定化の持続も認められている。ビンダケルは2011年11月、欧州などで承認されている。

 薬剤使用に際しては、承認時までの臨床試験から何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が52.8%に認められていることに注意する必要がある。主な副作用として、下痢・頭痛・尿路感染(各7.9%)、嘔吐(6.3%)、四肢痛(5.5%)などであった。なお、国内での治験症例が極めて限られていたため、一定期間は全症例を対象とした使用成績調査の実施が承認条件となっている。