2013年8月27日、2型糖尿病治療薬のリキシセナチド(商品名リキスミア皮下注300μg)が薬価収載された。本薬は、既に6月28日に製造承認を取得している。適応は「2型糖尿病で、食事療法、運動療法に加えて次のいずれかの薬剤を使用しても十分な効果が得られない場合に限る。(1)スルホニルウレア薬(ビグアナイド系薬との併用を含む)を使用、(2)持続型溶解インスリンまたは中間型インスリン製剤(スルホニルウレア薬との併用を含む)を使用」で、通常成人には、1日1回、朝食前1時間以内に20μgを皮下注射する薬剤である。

 近年、血糖降下作用には食事の摂取などにより消化管から産生される「インクレチン」というホルモンが大きく関与していることが明らかになった。インクレチンは、血糖値が高い場合にインスリン分泌を増強するが、血糖値が正常あるいは低い場合にはインスリンを増強しないという血糖コントロール作用を有する。またグルカゴンの分泌を低下させ、肝臓における糖新生を抑制する。

 こうした機能が注目され、近年、インクレチンに関連した作用機序をもつ糖尿病治療薬(いわゆるインクレチン関連薬)が続々と開発されている。具体的には、インクレチンの分解酵素(ジペプチジルペプチダーゼ4:DPP4)の選択的阻害作用を有する「DPP4阻害薬」や、代表的なインクレチンホルモンであるヒトGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の受容体に作動する「GLP-1受容体作動薬」が臨床使用されている。

 今回薬価収載されたリキシセナチドは、エキセナチド(商品名バイエッタ、ビデュリオン)、リラグルチド(商品名ビクトーザ)に次ぐ3成分目のGLP-1受容体作動薬である。GLP-1は、小腸下部のL細胞から分泌され、膵β細胞でインスリン分泌を促進し、膵α細胞でグルカゴン分泌を抑制する。また中枢では、摂食抑制ホルモンとして作用することが確認されている。

 リキシセナチドは、DPP4による分解・切断に抵抗を示すexendin-4に類似した構造を有し、インクレチン作用の持続化に成功している。またリキシセナチドは、現時点では国内で唯一、持効型溶解インスリン(基礎インスリン)との併用が認められたGLP-1受容体作動薬である点が特徴で、1日1回、朝食前1時間以内に、持効型溶解インスリンと同じタイミングで投与するといった使用が可能となっている。

 持効型溶解インスリンと併用した国内臨床試験では、優れた食後血糖降下作用が確認されている。また、体重増加を来すことなく血糖コントロールが改善し、忍容性も良好であることが認められている。世界各国で同時申請が行われ、2013年6月現在、ドイツ、オーストリア、イギリス、デンマーク、フィンランド、ノルウェイ、アイスランドで臨床使用されている。

 薬剤使用に際しては、承認時までの国内外の臨床試験(対象:2型糖尿病患者)で45.8%に何らかの副作用が認められているので十分注意する必要がある。主な副作用は、悪心(23.8%)、低血糖症(11.0%)、嘔吐(8.6%)であり、重大な副作用としては、低血糖、急性膵炎、アナフィラキシー反応、血管浮腫などが報告されている。