2013年6月28日、関節リウマチ治療薬、アバタセプトの皮下注製剤(商品名オレンシア皮下注125mgシリンジ1mL)が製造承認を取得した。同一成分では、点滴静注の250mg製剤が2010年9月より臨床使用されている。適応は「関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)」で、用法・用量は「投与初日に負荷投与として点滴静注製剤を投与した後、同日中に125mg皮下注し、その後は週1回125mgを皮下投与。また、週1回125mg皮下投与からも開始することが可能」となっている。

 関節リウマチは、免疫機能異常状態を基礎とする慢性炎症性疾患で、多発する関節炎と急速に進行する関節破壊等の関節症状を主症状とするが、関節外症状として肺、腎臓、心臓、眼、皮下組織等にも炎症性障害が分布する全身性疾患である。

 日本においては、60〜70万人が関節リウマチに罹患していると推定されており、特に40〜50歳の女性の罹患率が高いことが、この疾患の特徴である。関節リウマチの治療目標は、関節炎による疼痛の軽減と関節破壊の防止であり、関節機能を維持することにより、患者の身体的、精神的、社会的な生活の質の向上を図ることである。

 治療の中心は薬物療法であり、免疫抑制薬を含む抗リウマチ薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、ステロイドなどが臨床使用されている。さらに最近では、インフリキシマブ(商品名レミケード)やトシリズマブ(商品名アクテムラ)などをはじめとする生物学的製剤も広く使用されるようになっている。ただし、これら生物学的製剤の使用により感染症の誘発が高頻度で認められることから、これら製剤に十分に精通した医師の下での使用が原則となる。

 2010年から静注製剤が使用されるようになったアバタセプトは、既存の薬剤と異なる新しい作用機序を有する生物学的製剤で、抗原提示細胞とT細胞間の共刺激シグナルを阻害し、関節リウマチの発症に関与するT細胞の活性化及びサイトカイン産生を抑制するT細胞選択的共刺激調節薬である。

 今回承認された皮下注製剤は、患者への治療選択肢の拡充及び利便性向上を目的に開発されたプレフィルドシリンジ製剤である。これまでの臨床試験では、点滴静注用製剤と同様の効果が認められている。海外では、米国(2011年7月)及び欧州(2012年10月)で承認されて以降、2013年3月現在で世界9カ国で承認されている。日本では海外とのブリッジング試験を実施し、その結果を元に今回の承認に至っている。

 薬剤使用に際しては、承認までの国内臨床試験結果で投与例の52.5%に何らかの副作用が認められているので注意する必要がある。主な副作用は、上気道感染(16.9%)、口内炎(8.5%)、口内咽頭痛(8.5%)などであり、重大な副作用としては点滴静注用製剤と同様、重篤な感染症や過敏症、間質性肺炎などに注意が促されている。