2013年6月21日、抗悪性腫瘍薬のクロファラビン(商品名エボルトラ点滴静注20mg)が発売された。本薬は、3月25日に製造承認を取得し、5月24日に薬価収載されている。適応は「再発又は難治性の急性リンパ性白血病」で、用法・用量は「1日1回52mg/m2、2時間以上かけて点滴静注する。これを5日間連日投与し、少なくとも9日間休薬する。これを1クールとして繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する」となっている。

 急性リンパ性白血病は、リンパ系前駆細胞が悪性化し、小児期及び青年期における最も一般的な悪性腫瘍である。日本では、小児急性リンパ性白血病患者数は約2800人(5年間)と報告されているが、1980年以降、併用化学療法の発展により小児での治療成績は目覚しく向上し、寛解に達する割合が95%を超える疾患となっている。

 しかし一旦再発すると、抗悪性腫瘍薬への抵抗性を示すことから治療が困難となり、造血幹細胞移植が選択肢になる症例も多い。このことから臨床現場では、再発・治療抵抗症例において、寛解もしくは少なくとも部分寛解を達成して生存期間を延長し、移植前にできるだけ白血病細胞を減少させる新しい薬剤の開発・承認が熱望されていた。

 今回、発売されたクロファラビンは、ヌクレオチドアナログ代謝拮抗薬に分類される第二世代のプリン拮抗薬である。クロファラビンは、細胞内の酵素によって活性型のクロファラビン三リン酸に変換されて効果を発揮する。活性体は、リボヌクレオチド還元酵素及びDNAポリメラーゼαを阻害することで、白血病細胞のDNA合成や修復を阻害し、さらにミトコンドリアに作用してチトクロームC及び他のアポトーシス誘導因子発現を促進することでアポトーシスを誘導することが確認されている。

 海外第2相臨床試験では、小児の再発・難治性急性リンパ性白血病において、寛解率の改善及び生存期間の延長が確認されている。日本では、2005年10月に「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で早急に開発すべき薬剤と評価されており、2012年3月には希少疾病用医薬品に指定され、今回の承認・発売に至っている。海外においては、2004年12月に米国で承認されて以降、2012年4月までに世界49の国と地域で承認されている。

 承認時までの臨床試験では、全例で何らかの副作用が100%に認められている。主な副作用は、AST上昇・ALT上昇(各71.4%)、貧血・悪心・嘔吐・食欲減退(各57.1%)などであり、重大な副作用は、骨髄抑制、感染症、全身性炎症反応症候群、毛細血管漏出症候群、肝不全、肝機能障害、黄疸、静脈閉塞性肝疾患、腎不全、腫瘍崩壊症候群、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、心障害が報告されている。