2013年5月24日、代用血漿薬のヒドロキシエチルデンプン130000(商品名ボルベン輸液6%)が薬価収載された。本薬は既に3月25日に製造承認されており、ここ数カ月中には発売が予定されている。適応は「循環血液量の維持」で、用法・用量は「持続的に静脈内投与。投与量及び投与速度は、症状に応じ適宜調節するが、1日50mL/kgを上限とする」となっている。

 代用血漿薬は、膠質浸透圧の高い輸液製剤で、大量出血による循環血液量減少の治療に使用される。日本では、ヒドロキシエチルデンプン(HES)製剤、デキストラン製剤、アルブミン製剤などが使用されるが、中でもHES製剤は、約40年にわたり各種手術や外傷・火傷治療などにおける循環血液量減少の予防及び治療に広く使用されている。

 HES製剤は、過去に海外では、分子量が45万の高分子量製剤が使用されていたが、血漿への蓄積による血液凝固因子への影響や組織残留性による腎への影響等の問題が指摘され、現在では低分子量(7万)製剤(商品名サリンヘス、ヘスパンダー)が主に使用されるようになっている。

 しかし低分子製剤は、1回最大投与量が成人で1000mL、小児で10mL/kgと制限されており、これ以上の投与が必要な症例には、アルブミン製剤の使用を考慮するよう、厚生労働省の『血液製剤の使用指針』にも記載されている。一方でアルブミン製剤の大量使用には、原料であるヒト血液の供給不足や、ウイルス感染の潜在的リスク等の問題も指摘されていた。

 今回、薬価収載されたボルベンは、従来のHES製剤よりも分子量が高い(7万→13万)ものの、血液凝固系への影響や組織への蓄積性も低く、既存のHES製剤の上限を超える高用量の投与が可能な代用血漿薬である。その有用性と安全性は、国内外の臨床試験で確認されており、海外では、1999年にドイツで承認されて以降、世界75カ国以上で使用されている。ボルベンが使用可能となり、HES製剤の上限用量が増えることで、アルブミン製剤の使用が減少する可能性も指摘されている。

 ただしボルベンは、既存のHES製剤と同様、うっ血性心不全や乏尿等を伴う腎障害などの患者には投与禁忌である。また重大な副作用として、ショック、アナフィラキシーが認められていることにも留意しなければならない。