2013年5月31日、不整脈治療薬アミオダロン塩酸塩の注射製剤(商品名アンカロン注150)に「電気的除細動抵抗性の心室細動あるいは無脈性心室頻拍による心停止」の適応が追加された。追加された適応に対する用法・用量は「300mgまたは5mg/kgを5%ブドウ糖液20mLに加え、静脈内へボーラス投与する。心室性不整脈が持続する場合は、150mgまたは2.5mg/kgを5%ブドウ糖液10mLに加え、追加投与が可能」となっている。

 アミオダロンは、Vaughan Williams分類のIII群に属する不整脈治療薬であり、致死的不整脈に対して高い有効性がある。急性作用と慢性作用とで、作用するチャネルが異なるのが特徴で、急性作用ではNa、Ca2+、Kチャネルが、慢性作用ではKチャネルに加え、交感神経α受容体とβ受容体が主な標的となる。

 経口製剤(錠剤:1992年10月発売)に加え、2007年1月には注射製剤が承認されており、注射製剤は「生命に危険のある不整脈(心室細動、血行動態不安定な心室頻拍)で難治性かつ緊急を要する場合」の適応で承認されている。2003年には希少疾病用医薬品にも指定されている。

 心肺蘇生におけるアミオダロンの使用は、米国心臓協会の『AHA心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン2005』などで、既にリドカイン(商品名リドカインほか)とともに推奨されている。また国内でも『循環器医のための心肺蘇生・心血管救急に関するガイドライン2009』(日本循環器学会)において、本薬を含む抗不整脈薬の使用が推奨されている。

 今回のアミオダロンの適応追加については、上記のような国内外のガイドラインで第一選択薬として推奨されていることを踏まえ、2011年9月に日本蘇生協議会から早期の承認要望が提出されていた。そして厚労省の「医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議」(2012年3月)で早期開発の必要性が評価され、今回の適応追加となった。

 本薬では、投与された患者の74.5%に何らかの副作用が認められている。主な副作用は、血圧低下(14.9%)、血中甲状腺刺激ホルモン増加・心電図QT延長(各10.6%)、不眠症(8.5%)、血中ビリルビン増加・心不全・徐脈(各6.4%)などであった。重大な副作用としては、間質性肺炎、肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全、既存の不整脈の重度の悪化、Torsades de pointes、心停止、血圧低下、徐脈、甲状腺機能亢進症が報告されている。なお、今回の適応追加に伴い、本薬は毒薬から劇薬に指定が変更されている。