2013年5月24日、生物学的製剤のアダリムマブ(商品名ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mL)に腸管型ベーチェット病(腸管型BD)の適応が追加された。BDに対する用法・用量は「初回160mg、初回投与2週間後に80mgを皮下注射。初回投与4週間後以降は40mgを2週に1回皮下投与」となっている。日本においてアダリムマブは、関節リウマチ(2008年4月)をはじめ、尋常性乾癬および関節症性乾癬(2010年1月)、クローン病・強直性脊髄炎(2010年10月)、若年性特発性関節炎(2011年7月)に適応を取得し、すでに広く臨床使用されている薬剤である。

 BDは、口腔粘膜のアフタ性潰瘍、皮膚症状、眼症状、外陰部潰瘍を主症状とし、急性炎症を繰り返しながら慢性的な経過をたどる全身性炎症性疾患である。病因は、現時点では不明な部分も多いが、ヒトの主要組織適合抗原であるヒト白血球抗原(HLA)のHLA-B51というタイプの陽性率が高いことから、BDの発症には特定の遺伝子素因が関連しているものと推測されている。

 BDは、地域的にアジア、中近東、地中海沿岸地方に多く見られ、ヨーロッパ及びアメリカでは極めて稀な疾患である。日本においては、BDの特定疾患医療受給者数は1万8000人以上(2010年3月現在)で、このうち10〜15%は腸管型BDといわれている。BD発症にはほとんど性差がなく、発症年齢は男女ともに20〜40歳に多く、30歳前半にピークを示すことが知られている。

 腸管型BDの治療は、炎症性腸疾患のクローン病や潰瘍性大腸炎と病態が類似していることから、ステロイドのほか、5-アミノサリチル酸製剤のメサラジン(商品名アサコール)やサラゾスルファピリジン(商品名アザルフィジンENほか)、アザチオプリン(商品名アザニン、イムラン)、抗TNF製剤などによる治療が行われていた。しかし、どの薬剤も腸管型BDには適応を有していないのが現状であった。

 今回の適応追加により、アダリムマブは、日本で腸管型BDに適応を取得した初の生物学的製剤となる。アダリムマブは、炎症性反応あるいは免疫反応に関与する代表的な腫瘍壊死因子であるTNFαを中和させるモノクローナル抗体である。

 薬剤使用に際しては、国内の臨床試験で何らかの副作用が89.7%に認められているので十分に注意する必要がある。主な副作用は、鼻咽頭炎(34.7%)、注射部位紅斑(11.7%)、注射部位反応(9.3%)、発疹(8.8%)、上気道感染(7.4%)などであった。重大な副作用としては、従来からの警告欄にも記載されているように「結核、肺炎、敗血症を含む重篤な感染症、脱髄疾患の新たな発生もしくは悪化」などが報告されている。

 なお、今回BDの適応が追加されたのは40mg製剤のみであり、20mg製剤はこの適応を取得していないので留意しておきたい。