2013年5月24日、脂肪萎縮症治療薬のメトレレプチン(商品名メトレレプチン皮下注用11.25mg)が薬価収載された。本薬は、3月25日に製造承認を取得している。適応は「脂肪萎縮症」で、1日1回皮下投与する製剤である。

 脂肪萎縮症とは、全身あるいは限局的に脂肪細胞が消失あるいは減少する希少難治性疾患である。脂肪組織の減少に伴い、脂肪組織から分泌されるレプチン(食欲を抑制しインスリン抵抗性を改善するホルモン)が欠乏することで、肝臓、膵臓、骨格筋にトリグリセライドが蓄積し、最終的に肝硬変、急性膵炎、インスリン抵抗性の糖尿病などを発症する。日本での罹患患者は100人程度と推定されている。

 脂肪萎縮症に対しては、従来の糖尿病治療薬や高脂血症治療薬は効果が無いことが確認されており、有効な治療薬の開発が熱望されていたが、米国国立衛生研究所(NIH)や京都大学内分泌・代謝内科の臨床研究により、脂肪萎縮症による糖尿病、高中性脂肪血症、脂肪肝などの改善には、レプチンの補充が有効であることが明らかになった。

 これを受けて米国では、2000年から、ヒトレプチンのN末端がメチオニル化されたヒトレプチンアナログであるメトレレプチンを投与する臨床試験が開始された。日本でも同様に、脂肪萎縮症に対する医師主導治験が2010年より実施されており、メトレレプチンは2012年6月に希少疾病用医薬品に指定されている。

 日本での医師主導治験および国内外の臨床試験では、メトレレプチン投与により、脂肪萎縮症における糖代謝異常(HbA1c値)、脂質代謝異常(血中トリグリセライド値)の改善が確認されているとともに、長期間(1年以上最長9年間)の継続投与においてもHbA1c値、血中トリグリセライド値の良好なコントロールが得られている。

 対象症例は少ないものの、国内の安全性評価試験においては、87%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主な副作用は、注射部位反応(腫脹・疼痛・そう痒・発疹など、53%)であり、重大な副作用としては、蕁麻疹、全身性発疹などの過敏症状が報告されている。