2013年3月25日、抗悪性腫瘍薬のオファツムマブ(商品名アーゼラ点滴静注液100mg、同点滴静注液1000mg)が製造承認を取得した。適応は「再発又は難治性のCD20陽性の慢性リンパ性白血病」であり、用法・用量は「成人に週1回(初回300mg、2回目以降は2000mg)を8回目まで点滴静注。8回目の投与から4〜5週後より4週間に1回2000mg、12回目まで繰り返す」となっている。

 慢性リンパ性白血病CLL)は、発症原因は未だ不明であるものの、成熟した小型Bリンパ球が末梢血、骨髄、リンパ節、脾臓などで増殖する悪性腫瘍である。欧米ではCLLの罹患患者は多いものの、日本では約2000人(厚労省2008年統計)と推定されている。

 CLLは完治が困難な疾患であることから、従来から、症状の改善と生存期間の延長を主な目的とした治療が行われている。これまで日本では、経口アルキル化薬のシクロホスファミド(商品名エンドキサン)が使用されることが多く、これにドキソルビシン(商品名アドリアシンなど)やビンクリスチン(商品名オンコビン)などが併用される。最近では、核酸合成阻害薬のフルダラビン(商品名フルダラ)が使用されるようになり、CLLの治療成績は飛躍的に向上してきたものの、治療の選択肢は必ずしも多くなく、未だに確立された治療法がない状況であった。

 今回、承認されたオファツムマブは、CD20分子のエピトープ(抗原決定基)を特異的に認識するヒト型IgG1κモノクローナル抗体である。CD20モノクローナル抗体製剤としては、以前からリツキシマブ(商品名リツキサン)が使用されているが、オファツムマブが認識するエピトープはリツキシマブとは異なり、Bリンパ球表面に発現したCD20分子上の大小の細胞外ループに局在するエピトープを特異的に認識する。CD20エピトープに高い親和性で結合することと、結合後の解離速度が遅いことが特徴である。

 in vitroでは、補体依存性細胞傷害作用(CDC)及び抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(ADCC)を誘発することにより、抗腫瘍効果を発揮することが確認されている。また、補体C1qとの結合が強いことから、CD20低発現細胞に対しても、リツキシマブより強力なCDCを有することも確認されている。

 再発・難冶性のCLL患者を対象とした日本の第1相試験では良好な忍容性が確認されており、海外の第1/2相試験及び第2相試験では、忍容性及び有効性が確認されている。日本では2011年9月に希少疾病用医薬品の指定を受けている。海外では、2009年11月に米国、2010年4月に欧州で、「フルダラビン及びalemtuzumab(日本では未承認)に抵抗性のCLL」で適応を取得しており、2012年3月現在、30カ国以上で承認されている。

 ただし本薬は、承認時までの国内第1相試験などで、何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が全例に認められているので、十分な注意が必要である。主な副作用は、infusion reaction(100%)、好中球減少・白血球減少(各66.7%)、血中乳酸脱水素酵素増加(46.7%)などであった。また重大な副作用として、infusion reaction、腫瘍崩壊症候群・進行性多巣性白質脳症、B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎・肝炎の増悪、肝機能障害、黄疸、汎血球減少、白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、感染症、間質性肺炎、心障害、中毒性表皮壊死融解症、腸閉塞、重篤な腎機能障害、重篤な血圧降下が報告されている。