2013年3月25日、抗悪性腫瘍薬のレゴラフェニブ水和物(商品名スチバーガ錠40mg)が製造承認を取得した。適応は「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」であり、用法・用量は「成人、1日1回160mgを食後に3週間連日投与し、その後1週間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す」となっている。

 近年、日本の大腸癌死亡率および罹患率は著しく増加している。2011年の人口動態統計によれば、女性の大腸癌死亡は、部位別に見た全悪性新生物による死亡の中で最多であり、男性でも肺癌、胃癌に次いで多い。この50年間ほどで、大腸癌死亡は男女とも約10倍に増加している。

 この間、多くの治療法および治療薬が開発され、診断法の進歩と相まって、大腸癌の治療成績は着実に向上している。特に近年になり、血管内皮成長因子(VEGF)を標的とするベバシズマブ(商品名アバスチン)や、上皮成長因子(EGFR)を標的とするセツキシマブ(商品名アービタックス)、パニツムマブ(商品名ベクティビックス)などの分子標的治療薬の登場で、治療成績は飛躍的に向上してきている。しかし一方で、進行した大腸癌では使用可能な治療選択肢が未だに十分ではないのが現状である。

 今回、承認されたレゴラフェニブは、腫瘍や血管新生に関与する複数のプロテインキナーゼの活性を阻害する経口マルチキナーゼ阻害薬である。腫瘍増殖と腫瘍進行にかかわる3つの重要な機序(腫瘍形成、腫瘍血管新生、腫瘍微小環境)のシグナル伝達を標的とする。マルチキナーゼ阻害薬としては、ソラフェニブ(商品名ネクサバール)やスニチニブ(商品名スーテント)などが臨床使用されているが、大腸癌に適応を持つ経口マルチキナーゼ阻害薬は本薬が国内初となる。

 標準化学療法施行後に病勢進行が認められた三次治療以降の転移性結腸・直腸癌患者を対象とした国際共同第3相臨床試験(CORRECT)で、レゴラフェニブ投与群は、プラセボ群と比較して有意に全生存期間を延長したことが確認されている。海外では、米国で2012年9月に「転移性大腸癌」、2013年2月に「消化管間質腫瘍(GIST)」の適応で承認されており、EUでは2012年5月に転移性大腸癌の適応で承認申請を行っている。

 国際共同第3相臨床試験では、何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が93.0%に認められているので、使用に当たっては十分な注意が必要である。主な副作用は、手足症候群(45.0%)、下痢(33.8%)、食欲減退(30.4%)、疲労(29.0%)、発声障害(28.4%)、高血圧(27.8%)、発疹(22.6%)などであった。また重大な副作用として、手足症候群、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、肝不全、肝機能障害、黄疸、出血、血栓塞栓症、高血圧、高血圧クリーゼ、可逆性後白質脳症、消化管穿孔、消化管瘻が認められていることにも留意しておく必要がある。