2013年3月25日、パーキンソン病治療薬のイストラデフェリン(商品名ノウリアスト錠20mg)が製造承認を取得した。適応は「レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるウェアリングオフ現象の改善」であり、用法・用量は「レボドパ含有製剤と併用し、成人に1日1回20mg経口投与。なお、1日1回40mgまで増量可」となっている。

 パーキンソン病は、安静時振戦、筋強剛(筋固縮)、無動・募動、姿勢反射障害の4大症状を特徴とし、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変性疾患である。日本の有病率は人口10万人あたり100〜150人と推定され、近年の人口構成の高齢化に伴い有病率は増加している。また、発症年齢は50〜65歳に多いが、高齢になるにつれて発病率が増加することも認められている。

 パーキンソン病の治療は、『パーキンソン病治療ガイドライン』(日本神経学会)にもあるように、薬物療法が中心となっている。レボドパやドパミンアゴニストなど、ドパミン系薬を使った治療が基本となるが、これらで長年治療を続けると運動合併症の問題が生じるという問題がある。中でも、薬の効果が不安定になるウェアリングオフは、症状の日内変動が繰り返されることで患者の日常生活に大きく影響することが問題となっている。

 ウェアリングオフを改善する方法として、レボドパの半減期を延ばし効果持続時間を延長させるCOMT阻害薬のエンタカボン(商品名コムタン)やゾニサミド(トレリーフ)などが使用されているが、十分な効果を得るに至らない症例も少なくない。このことから、効果の向上と安全性の確保の観点から、従来のドパミン系とは異なる薬剤の開発が熱望されていた。

 今回、承認されたイストラデフィリンは、ドパミン受容体やドパミン代謝酵素に作用しない新規の非ドパミン系の薬剤であり、世界初の「アデノシンA2A受容体拮抗薬」である。アデノシンA2A受容体は、大脳基底核回路内の線条体―淡蒼球経路(間接経路)に特異的に発現しており、この受容体の活性化は、間接経路に興奮状態をもたらし、大脳基底核経路を通じて運動を抑制的に調節している。

 これまでの研究から、このアデノシンA2A受容体を遮断することで、パーキンソン病の運動機能異常を改善できる可能性が示唆されている。実際、イストラデフェリンは、承認時までの臨床研究で、レボドパ含有製剤で治療中のウェアリングオフ現象を有するパーキンソン病患者において、1日1回投与で1日平均オフ時間を減少させることが確認されている。

 イストラデフェリンは、レボドパ含有製剤との併用で相加的効果を示すことから、パーキンソン病治療でのウェアリングオフを改善する新たな治療選択肢として注目を集めている。

 薬剤の使用に際しては、承認時までの国内臨床試験で副作用(臨床検査値異常を含む)が49.6%に認められていることに十分な注意が必要である。主なものはジスキネジー(16.9%)、便秘(5.1%)、幻視(4.5%)などであり、重大な副作用として、幻視(4.5%)、幻覚(3.2%)などの精神障害が報告されている。